エトナ山での本格的な山登りから一夜明けて、2日ぶりに平坦ゴールを迎えるジロ・ディタリア2017。ゴール地点はニバリの故郷・メッシーナ。メッシーナがゴール地点になるのは18年ぶりだとか?(DAZNの紹介サイトによる)
今大会4回目のスプリント勝者およびマリア・チクラミーノを巡る激しい戦いが展開された。
今日の逃げは2人だけ。逃げ切りがほぼ不可能と見た集団のワールドツアーチームの中からはチャレンジする選手は現れなかった。
パテルスキーは今大会逃げは初。シャルノフは第2ステージ以来の逃げだ。
ガスプロムはこれで今のところ全ステージで逃げに乗っていることになる。
CCCは第4ステージ以外すべて。ウィリエールは3ステージ、バルディアーニは2ステージ逃げに乗った。
唯一の4級山岳も2つある中間スプリントポイントもパテルスキーが先頭通過。
集団はマリア・ローザを保持するクイックステップが牽引役を務める。
4級山岳の3番手通過(1ポイント)はテクレハイマノが。
中間スプリントポイントの3番手通過は共に(8ポイント×2)ガヴィリアが先着。
昨日の恥ずかしい「意味ない集団先頭通過」の借りをきっちり返した形だ。
これで明らかになるのが、ガヴィリアはポイント賞(マリア・チクラミーノ)獲得を狙っている、ということだ。おそらくグライペル、そして多分ユワンも、完走は目指さないと思うのだが・・・ガヴィリアはきっちりと感想を狙ってくるということだろう(まあツールはキッテルが出るだろうしね)。
ガヴィリアが山岳コースでも結構もちこたえられることは昨日のステージでも証明してみせたし、十分狙っていけるだろう。
ちなみにガヴィリアのこの頑張りによって、この日の敢闘賞も彼が手に入れることになった。
さらに言えば総合敢闘賞の座もテクレハイマノから奪い取っている。すごい。
さて、最後のゴールスプリントに関してだが、メッシーナ市内の周回コースを1周半するレイアウト。ニバリをたくさん見たい観客たちのための計らいだろうがそれがゆえにニバリの某チームメートが恥ずかしい思いをしてしまったのはご愛敬。
問題はゴール前1km地点に鎮座する、凶悪な180度ターン。
このターンによって、それまで完璧なトレインを組み立ててきたロット・ソウダルとクイックステップ・フロアーズが大崩壊。
立て直して一列になった最終トレインの先頭はオリカ・スコットが占領するも、肝心のエースの姿がない。
そして10番手以下に沈んでいたクイックステップの「エース」ガヴィリアと「最終発射台」リケーゼを引き上げたのが、23歳の若手ダヴィデ・マルティネッリ。
彼の活躍ぶりについては以下のブログを参照するとよい。非常にわかりやすい。
ガヴィリア勝利の裏に隠されたダヴィド・マルティネッリの見事なリードアウトとは? - サイバナ
マルティネッリの後、先頭にまず出たのはボーラ・ハンスグローエの「エース」サム・ベネットと「最終発射台」リュディガー・ゼーリッヒのコンビ。ゼーリッヒもかなりの仕事をしたが、リケーゼはしっかりとこれに追随し、やがてベネットの発射と共に飛び出したガヴィリアが、ベネットを一気に抜き去った。
グライペルはなんとか独力で這い上がってきて4位。さすがだ。
一方のユワンは、埋もれてしまった状態からの追い上げができず、23位という悔しい結果に終わってしまった。先行してからは強いユワンだが、今回みたいにイレギュラーなコースレイアウトで埋もれてしまうと厳しい。隙間を縫ってもがき這い上がるグライペルのようなテクニックと経験はまだ足りていない、ということだろうか。
また、グライペル同様に単独で追い上げ、ベネットすらも抜いて2位になったのが、ウィリエール・トリエスティーナのヤコブ・マレツコである。
まだ23歳の若いイタリア人スプリンターだが、昨年のチンハイレイク3勝、今年のランカウイでも2勝、そしてトップスプリンターたちが集う今年のドバイ・ツアーでも3位に入るなど前々から注目を集めていた選手である。
今日も区間7位に入っていたライアン・ギボンズと共に、今後のさらなる活躍が期待できる若手スプリンターの1人である。来年の所属チームはまだ決まっていないので、一体どこに移籍するのか楽しみである。
ゴール後、握手するガヴィリアとグライペル。この後、グライペルの着る紫色ジャージはガヴィリアのものとなる。ガヴィリアが直接対決でグライペルを下したのは、今年2回目である。
しかし今日のレースは、最後のスプリントだけでなく、そこに至るまでのトレイン形成合戦も素晴らしかった。
ラスト1kmの180度カーブで崩壊したとは言え、残り1.5kmまであまりにも完璧なトレインを作ったクイックステップ・フロアーズとロット・ソウダル。とくにロットは、単純にトレインを作るだけでなく、巧みに自転車を左右に振って、他のチームが先頭を取ることを阻み続けていた。なんたるテクニック。これが最強のスプリントチームの底力である。
また、そんな展開の中からこの2チームに対抗できるだけの見事なトレインを作ったのがボーラ・ハンスグローエとUAEチーム・エミレーツ。とくにボーラは、昨年までコンチネンタルチームとは思えない走りである。ここまでサム・ベネットが調子悪そうだった中で今日の3位と復活したのも嬉しい。
Giro d'Italia: Stage 5 - Highlights
今日の着順は以下の通りである。
やっぱりサッシャ・モドロは調子わるいのかなぁ(77位)。
個人的にお気に入りのバウハウスが少しずつ順位を上げてきているのが嬉しい。今回はチームメートの助けもなく、ラストの展開を1人で這い上がってきていたし、頼もしい。
第6ステージはアルデンヌ調の激しいアップダウンを経てゴールするレイアウト。
ラスト8kmのレイアウトはこんな感じ。これではピュアスプリンターの活躍は望むべくもないだろう。
場合によってはクライマー的な選手の活躍が見られるかもしれないが、あえてスプリンターとして連日上位にきている選手の中から探すとしたら、この日こそジャスパー・ストゥイヴェンが勝利を決めるチャンスかもしれない。
あるいはノケレ・クルス4位のバウハウス。アルデンヌ適性のあるバッタリンも、可能性は十分だろう。