フランドルでの激戦から一夜明け、興奮冷めやらぬ思いのまま迎えたバスク1周レース初日。
北の大地とは打って変わって落ち着いた様子でプロトンは進む。
逃げは3人。
カハルラルのリュイスギジェルモ・マース(スペイン、28歳)
コフィディスのヨアン・バゴ(フランス、30歳)
ディメンションデータのイゴール・アントン(スペイン、34歳)
アントンは地元バスク出身の選手であり、かつてはエウスカルテルに所属していた選手だ。
(今日のレースの舞台は彼の地元のバスク州ではなく、お隣のナバラ州ではあるが)
最初の2つの2級山岳を先頭通過したヨアン・バゴが山岳賞を獲得。
また、92km地点と121.2km地点の中間スプリントポイントを先頭通過したマースがスプリント賞(ポイント賞とは別枠らしい)を獲得している。
最大4分差をつけられたプロトンは、今日のステージの勝利を目指すチーム・サンウェブが牽引役を務める。少しずつタイム差を詰めていき、残り20kmを切ったところでとうとう逃げが捕まえられた。
今日という日を平穏に終えたい総合勢の意向を反映し、飛び出す選手もなく、ゆっくりと、まったりとパンプローナ盆地を進む。
集団は横一列になり、ステージ勝利を狙うサンウェブやロットNLユンボ、ボーラ・ハンスグローエ、あるいは有力選手を守りたいモヴィスターやアスタナ、トレック・セガフレードなどが前に出てきていた。
大きな動きは残り5km地点で始まった。
最初に飛び出したのはロット・ソウダルのティム・ウェレンス。
翌日のステージでこそ真価を発揮しそうな有力選手が、いきなりの飛び出しを見せた。
しかも、ウェレンスがキャッチアップされた直後に飛び出したのが、ジュリアン・アラフィリップ。
パリ~ニース第1ステージで見せたような勢いのついた飛び出しで、プロトンとの間隔が一気に開く。
これは行ってしまうのか!?
しかしこの直後、アラフィリップに悲劇が襲い掛かった。
勢いよく飛び出した彼のバイクのリアタイヤが、突如パンクしてしまったのだ。
こうなってしまってはどうしようもない。
為す術もなく集団に飲み込まれるアラフィリップ。
こんな場面は、以前もツール・ド・フランスで見たような気がする・・・。
ボーナスタイムもなく、厳しい山岳も連続するバスクで上位に入ろうとするならば、こういったステージでリードを保ったままゴールすることが重要である、と踏んだアラフィリップの判断は間違いではなかった。
それだけに、この、彼に襲い掛かる度重なる不運は何とも言えないものである。
一回、厄払いに行った方がいいのではないか。
その後は大きな動きが起きることなく、集団スプリントへと突入する。
この日の勝利を飾ったのは、大方の予想通り、過去2勝しているマイケル・マシューズであった。
2位にはボーラ・ハンスグローエのジェイ・マッカーシー。ここまで目立った活躍ができていなかった元ティンコフのスプリンターが、体調不良で未出走となったサム・ベネットに代わって果敢に挑戦した。
そして3位につけたのも同じオーストラリア人のサイモン・ゲランス。オーストラリア人がバスク初日の上位3着を独占した形となった。
いずれにしても、マシューズ、今期初勝利。
チームとしては3勝目となる。
集団の牽引役を全力でこなしてくれたチームに捧げる勝利となった。
Vuelta al Pais Vasco 2017 Stage 1 Last Kms Etapa Iruñea - Eguesibar-Sarriguren 153,3 Kms