勝利を確信し、両手を開く。
その瞬間、吐き出された咆哮は、ライブカメラを伝わって世界中の視聴者へと届けられた。
ソンニ・コルブレッリ。彼にとって初めてのワールドツアーチームに移籍した初年度に、待望のワールドツアーレース勝利を決めた。
これは決して「番狂わせ」の勝利ではない。
昨年のワールドツアー個人ランキングでは、9位のクリストフに次ぐ、スプリンターとしては2番目の成績である14位につけていた。
バルディアーニCSFに所属していた昨年は7勝。クラス1が5つ、クラスHCが2つだ。
とくにツール・ド・リムザンは相性のいいレースで、過去2年で5勝している。
ワールドツアーポイントを稼いだのはティレーノ~アドリアティコとミラノ~サンレモでの9位、アムステルゴールドレースでの3位、そしてジロ・ディタリアでの3位と5位と10位である。
今年はこの、パリ~ニースでの1勝により、再びワールドツアーランキングの上位に来るチャンスが与えられた。
あとは念願のミラノ~サンレモでの表彰台が夢。
あとはジロ・ディタリアでの勝利を——と思ったが、今年はジロ・ディタリアには出場しない予定なのか。
まあ、チームメートにはニッコロ・ボニファツィオもいるし、出たとしても彼のアシストをやらされるだけかもしれない。
しかし、ミラノ~サンレモやアムステルゴールドレースでも高順位を獲得している選手だ。
起伏のある難しいレースではボニファツィオ以上のポテンシャルを発揮しそうで、棲み分けはできそうな気がする。
いずれにしてもワールドツアーチーム初年度の今年。
彼が今年どこまでその存在感を発揮していくことができるのか、見ものである。
ゴール後、泣き崩れるコルブレッリ。「キャリア最大の勝利だった」とゴール後インタビューでも語っていた。jsportsより。
もう一人、今日のレースで視聴者を沸かせた選手がいた。
2012年ロード世界チャンピオンの彼は今年、自らのクラシック勝利のために6年ぶりのチーム移籍を決めた。
彼が目標に据えるのはただ一つ、ロンド・ファン・フラーンデレンでの勝利。
だからこの日の彼の動きは、もしかしたら来るべきロンドへの予行練習だったのかもしれない。
確かにこの日は、ベルギークラシックばりの荒れた天気であった。
そして小さいながらもアップダウンが連続し、彼向きのステージではあった。
初期段階で出来た逃げに乗っただけでなく、最終盤ではその集団からも飛び出し、独走に持ち込んだジルベール。
残り10kmでタイム差は50秒と、逃げ切り濃厚かとも、思われた。
しかしこの日はまだ、万全ではなかったようだ。
残り8kmの時点で20秒近くにまでタイム差を縮められ、彼はそれ以上逃げ続けることを諦めた。
無理をしてギリギリで捕まり、総合順位を一気に落とすことになるよりは、今の総合順位を保つことを選んだのかもしれない。
結果としてこの日、彼はボーナスタイムを得たことで、クリストフを抜いて総合4位にまで上り詰めた。
しかし、私は彼が、このまま総合表彰台を目指すような大人しい走りをするとは思えない。
何しろ明日は、ゴール前20km超のところに2級山岳を擁する、彼向きのステージなのだから。
きっと明日も、ジルベールはジルベールらしい走りを我々に見せてくれるはずだ。
そしてそのまま、ロンド初優勝へ向けて、突き抜けてほしい。
フィリップ・ジルベール。我々に夢を見せ続けるエンターテイナーである。
そして総合では更なる波乱が。
なんと、過去2回総合優勝を決めているゼッケンNo1のリッチー・ポートが、14分遅れでのゴールとなったのである。
それ以外の有力選手――すなわち、マーティン、ザッカリン、セルヒオ・エナオ、ヨン・イサギレ、コンタドール、クライスヴァイク、サイモン・イェーツ、フールサンなどは集団ゴールを果たしているため、変動はなし。
ただ1人、ポートだけが、大きく遅れる結果となってしまった。
これで総合優勝は絶望的に。
あとはステージ勝利を狙うか、それともこのレースからリタイアしてしまうか。
次々と有力選手が舞台を去っていく波乱のパリ~ニース。
果たして8日間の戦いの結末はどうなるのか。
Résumé - Étape 2 (Rochefort-en-Yvelines / Amilly) - Paris-Nice 201