「実力だけでは勝てない、運も重要だ」
という言葉通り、落車が続く過酷なレース展開であった。
残り80kmを切ったところで発生した大規模な落車。
これにより、優勝候補であったトム・ボーネン、アレクサンダー・クリストフ、アルノー・デマール、ディラン・フルーネヴェーヘン、ティシュ・ベノートなどの実力者がすべて戦線離脱することに。
ただ、最終的に残った3人のメンバーの顔触れを見ると、結局は「本当に強い者だけが残る」とも言えるのかもしれない。
そう、この日オンループ最終盤に残留した3人は、ピーター・サガン、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート、セプ・ヴァンマルク。
北のクラシック表彰台常連の3人であった。
勝負を決定付けた要因の1つは落車であったが、もう1つは激坂タイエンベルク。
サガン、ヴァンアーヴェルマート、ヴァンマルクの3人はここで鋭いアタックを決め、落車を免れていたルーク・ロウやファビオ・フェリーネはこれについていくことができなかった。
チーム・スカイの新鋭ジャンニ・モズコンがロウのために全力で牽引するが、そのタイム差は30秒よりも先に縮まることは決してなかった。
サガンたちが合流したメンバーの中から、アレクシー・グジャールやマイク・テウニッセンなどが良い走りを見せたものの最終的には脱落。
また、ルームポット・ニーダーランセロッテレ(PCT)の25歳ブライアン・ファンフーテンも、急坂の度に遅れる姿を見せつつもなんとか喰らい続けていたが、さすがに最終盤まで残ることはできなかった。
そして残り10kmを切ってタイム差はむしろ開いていく一方。
いよいよ3人が、優勝をかけた牽制合戦に入っていく。
結果的に、昨年と同様の、「前を牽き過ぎた」ことによるサガンの敗北。
ラストのスプリントで粘ったものの、力尽きてヴァンアーヴェルマートに2年連続の敗北を喫してしまった。
・・・なお、翌日(本日)のクールネ~ブリュッセル~クールネではサガンが勝利。
ヴァンアーヴェルマートは後続集団に取り残され、サガンは今度はあまり牽引しないように走っていた。
終盤ではストゥイヴェンがサガンを警戒して牽制に入っていたものの、さすがにこのメンバーでのスプリントで、サガンに敵うものはいなかった。
かなり余裕な雰囲気で勝利。なんとか、チームに公式戦での初勝利をもたらした。
いよいよ始まったクラシックシーズン。
中東レースの雄大さもいいが、やはりベルギーのこの、どこか常に天気の悪いような、そしてのどかな田園風景の中を走るレースは、非常に見ごたえがある。
ここから4月までは楽しみが尽きないものだ。