正直、言葉を失った。
やった!ユワンついに勝った! ・・・と思った次の瞬間。
雄叫びを上げるキッテル。
項垂れるユワン。
最高のタイミングで放たれたユワンはカヴェンディッシュの追撃も届かず、間違いなく先頭でゴールラインを通過しそうな勢いであった。
それゆえに彼は両手を離し、ガッツポーズを決めようとしたのだ。
だが、そこに、沈んでいたと思われていたキッテルがまさかの浮上。
ギリギリの、本当にギリギリで、ユワンを差し切ったのである。
もしかしたら、その両手を離さなければ、勝者はユワンだったかもしれない。
カヴェンディッシュとキッテルという、当代最強の2大スプリンターを退けて、22歳の彼が勝利を掴んでいたかもしれない。
しかし、神様はなかなか試練を与えてくださる。
今日のところはドバイ覇者キッテルが、昨日の借りを返す勝利を手に入れた。
勝利という結果を手にすることはできなかったカレブ・ユワン。
だが、これだけの最強スプリンターたちの中で、確かな実力を見せつけることには成功した。
この勝利がまぐれでないのであれば、きっとまた、どこかでリベンジを果たすことのできる瞬間が訪れるはずだ。
それはもしかしたら、すぐに。
カレブ・ユワンという青年には、それだけの素質があるように感じられる。
新人賞ジャージを手に入れたカレブ・ユワン。インタビューにもしっかりと笑顔で応えていた。
ヴィヴィアーニなどはもちろん、昨年までIAMに所属していたマッテオ・ペルッキが良い走りを見せている。
また、エドゥアルド・グロースやアレクサンダー・ポルセフも、プロコンチネンタルチームでありながら、2日続けてのトップ10入りと、健闘している。
そして、昨日の窪木に続き今日の逃げにもまた、ニッポ・ヴィーニファンティーニの選手が乗っていた。
ゼッケン92、28歳のイタリア人、マルコ・キャノーラである。
2つある中間スプリントを両方とも先頭通過し、昨日のマヌエーレ・モーリと並んだことで、より総合ランキングが上位であるキャノーラが、この日の中間スプリント賞(黒ジャージ)を獲得することになった。
日本企業がスポンサードし、日本人選手も多く登録されているニッポの選手が表彰台に立つと、我が事のように嬉しいものである。
ジロに出ることこそ叶わなかったものの、ワールドツアーレースでしっかりとその存在をアピールし、次に繋げていきたいところだ。
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