2017年シーズン最初の1か月がまもなく過ぎ去ろうとしている。
ここで、開幕の月となったこの1月の、主要なレースの結果をまとめていこうと思う。
対象はコンチネンタルサーキットのクラス1以上。すなわちプロの選手が参加するレースのみである。
※記事中の選手の年齢は、数え年で表示しております。
目次
- オーストラリア国内選手権
- ニュージーランド国内選手権
- ツアー・ダウンアンダー(2.UWT)
- ブエルタ・サン・フアン(2.1)
- マヨルカ・チャレンジ(1.1)
- グランプリ・マルセイエーズ(1.1)
- カデル・エヴァンス・グレート・オーシャン・ロード・レース(1.UWT)
- 総評
オーストラリア国内選手権
個人タイムトライアル(1月5日)
1.ローハン・デニス(27歳、BMCレーシング)
2.ルーク・ダーブリッジ(26歳、オリカ・スコット)
3.ベンジャミン・ディバル(28歳、セントジョージ・コンチネンタル)
ロードレース(1月8日)
1.マイルス・スコットソン(23歳、BMCレーシング)
2.サイモン・ゲランス(37歳、オリカ・スコット)
3.ネイサン・ハース(28歳、ディメンションデータ)
ローハン・デニスが2年連続で個人TTを制覇。今最も熱いTTスペシャリストとして、今後は世界選手権も狙っていきたいところ。さらにロードレース部門では、まさかの新鋭マイルス・スコットソンが優勝。TTチャンピオンもロードレースチャンピオンもBMCが取るという事態に。
しかしゲランスはまた2位。間違いなく凄いのだが、なかなか可哀そうな位置でもある。
ニュージーランド国内選手権
個人タイムトライアル(1月6日)
1.ジャック・バウアー(32歳、クイックステップ・フロアーズ)
2.ジェイソン・クリスティー(27歳、ケニアンライダーズ)
3.ハーミッシュ・ボンド(31歳)
ロードレース(1月8日)
1.ジョセフ・クーパー(32歳、イソホエイスポーツ)
2.ジェイソン・クリスティー(27歳、ケニアンライダーズ)
3.ディオン・スミス(24歳、ワンティ・グループゴベール)
さすがに知らない選手ばかりだが、ニュージーランドはこれから、逸材が次々と出てきそうな国でもある。ジャック・バウアーはおよそ3年ぶりに出場した?国内選手権で初のITTタイトル(RRは7年前に獲っている)。今後の活躍が期待できる結果だ。
ロードレースで優勝したジョセフ・クーパーは、1月後半に開催されたニュージーランドのクラス2のステージレース「ニュージーランド・サイクルクラシック」でも優勝している。国内では力のある選手のようだ。
ディオン・スミスはまだ若く、また今年ツールへの出場が決まったワンティの選手ということもあって、注目しておきたい。
ツアー・ダウンアンダー(2.UWT)
詳細は以下を参照のこと。
ピープルズチョイスクラシック(1月15日)
1.カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳、オリカ・スコット)
2.サム・ベネット(アイルランド、27歳、ボーラ・ハンスグローエ)
3.ペーター・サガン(スロヴァキア、27歳、ボーラ・ハンスグローエ)
第1ステージ(1月17日)
1.カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳、オリカ・スコット)
2.ダニー・ファンポッペル(オランダ、24歳、チーム・スカイ)
3.サム・ベネット(アイルランド、27歳、ボーラ・ハンスグローエ)
第2ステージ(1月18日) ★パラコーム登りゴール
1.リッチー・ポート(オーストラリア、32歳、BMCレーシング)
2.ゴルカ・イサギーレ(スペイン、30歳、モヴィスター)
3.エステバン・チャベス(オーストラリア、27歳、オリカ・スコット)
第3ステージ(1月19日)
1.カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳、オリカ・スコット)
2.ペーター・サガン(スロヴァキア、27歳、ボーラ・ハンスグローエ)
3.ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、24歳、バーレーン・メリダ)
第4ステージ(1月20日)
1.カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳、オリカ・スコット)
2.ペーター・サガン(スロヴァキア、27歳、ボーラ・ハンスグローエ)
3.ダニー・ファンポッペル(オランダ、24歳、チーム・スカイ)
第5ステージ(1月21日) ★ウィランガ・ヒル頂上ゴール
1.リッチー・ポート(オーストラリア、32歳、BMCレーシング)
2.ネイサン・ハース(オーストラリア、28歳、ディメンションデータ)
3.エステバン・チャベス(オーストラリア、27歳、オリカ・スコット)
第6ステージ(1月22日)
1.カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳、オリカ・スコット)
2.ペーター・サガン(スロヴァキア、27歳、ボーラ・ハンスグローエ)
3.ダニー・ファンポッペル(オランダ、24歳、チーム・スカイ)
総合成績
1.リッチー・ポート(オーストラリア、32歳、BMCレーシング)
2.エステバン・チャベス(オーストラリア、27歳、オリカ・スコット)
3.ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、25歳、ボーラ・ハンスグローエ)
ポイント賞:カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳、オリカ・スコット)
山岳賞:トーマス・デヘント(ベルギー、31歳、ロット・ソウダル)
新人賞:ホナタン・レストレポ(コロンビア、23歳、カチューシャ・アルペシン)
クリテリウム含めて全7戦あるうち、勝者がポートとユワンしかいないという驚くべき事態に。しかしいずれも下馬評通りであり、この時期のオージーライダーのコンディションの良さを見せつけてくれた。
だがもちろん、この時期だけであってほしくはない。この2人は、昨年も活躍していたが、さらなる活躍が求められる2人である。ポートはツール総合表彰台を、そしてユワンはグランツールでの2勝目を。さらなる飛躍の年にしていただきたい。
レストレポも去年ブエルタでも活躍していた、期待の若手。山だけでなくそれなりにスプリントもこなせるので、様々な活躍が見られそうだ。
ブエルタ・サン・フアン(2.1)
第1ステージ(1月23日)
1.フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、23歳、クイックステップ・フロアーズ)
2.エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、28歳、チーム・スカイ)
3.ニコラス・マリーニ(イタリア、24歳、ニッポヴィーニファンティーニ)
第2ステージ(1月24日)
1.トム・ボーネン(ベルギー、37歳、クイックステップ・フロアーズ)
2.エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、28歳、チーム・スカイ)
3.マッテオ・マルチェッリ(イタリア、24歳、アンドローニジョカットリ)
第3ステージ(1月25日) ★個人TT(11.9km)
1.ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、29歳、バーレーン・メリダ)
2.バウケ・モレマ(オランダ、31歳、トレック・セガフレード)
3.マティアス・ブランドル(オーストリア、28歳、トレック・セガフレード)
第4ステージ(1月26日)
1.フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、23歳、クイックステップ・フロアーズ)
2.エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、28歳、チーム・スカイ)
3.ニコラ・ルッフォーニ(イタリア、27歳、バルディアーニCSF)
第5ステージ(1月27日) ★アルト・コロラド頂上ゴール
2.ロドルフォ・トーレス(コロンビア、30歳、アンドローニジョカットリ)
3.リカルド・エスクエーラ(アルゼンチン、34歳、アグルパシオン・ヴァージン)
第6ステージ(1月28日)
1.マクシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、34歳、クイックステップ・フロアーズ)
2.オリヴィエロ・トロイア(イタリア、23歳、UAEアブダビ)
3.ニコラス・ティヴァーニ(アルゼンチン、22歳、ユニユーロ・トレヴィジアーニ)
第7ステージ(1月29日)
1.マクシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、34歳、クイックステップ・フロアーズ)
2.トム・ボーネン(ベルギー、37歳、クイックステップ・フロアーズ)
3.マッテオ・マルチェッリ(イタリア、24歳、アンドローニジョカットリ)
総合成績
1.バウケ・モレマ(オランダ、31歳、トレック・セガフレード)
2.オスカル・セヴィリャ(スペイン、41歳、スペイン、メデリン・インデル)
3.ロドルフォ・トーレス(コロンビア、30歳、アンドローニジョカットリ)
山岳賞:フランコ・ロペス(アルゼンチン、29歳、アグルパシオン・ヴァージン)
新人賞:イーガン・バーナル(コロンビア、20歳、アンドローニジョカットリ)
アルゼンチンで行われた、クラス1のステージレース。本来この時期は「ツール・ド・サンルイス」がクライマーたちのシーズン緒戦となることが多いが、今年はそれが財政難を理由に中止してしまい、代わってUCI公式レースとして格上げされたのがこのレース。例年のサンルイス同様にニーバリやガヴィリアなどのトップ選手たちが出場した。
昨年同様にガヴィリアの活躍が見れたほか、今年がラストイヤーになると言われているトム・ボーネンもしっかり存在感を示し、さらにはリケーゼという第3の矢を放つことに成功し、クイックステップ・フロアーズが快調な滑り出しを見せている。これで肝心のクラシックシーズンに大ゴケをしなければいいが・・・昨年のように。
そして当然、総合優勝のモレマにも注目だ。昨年ツールでは中盤までいい位置につけていた。終盤に失速してしまった彼が、今年、どのような活躍を見せてくれるのか。楽しみである。ルイ・コスタの久々の勝利も嬉しい。彼も去年、惜しいことが多かったからね・・・。
マヨルカ・チャレンジ(1.1)
トロフェオ・ポレラス(1月26日)
1.アンドレ・グライペル(ドイツ、35歳、ロット・ソウダル)
2.ヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、31歳、コフィディス)
3.ダニエル・マクレー(イギリス、25歳、フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト)
トロフェオ・セッラ・デ・トラムンターナ(1月27日)
1.ティム・ウェレンス(ベルギー、26歳、ロット・ソウダル)
2.ルイ・ヴァルヴァーク(ベルギー、24歳、ロット・ソウダル)
3.ヴィセンテ・ガルシア(スペイン、29歳、スペインナショナルチーム)
1.ティム・ウェレンス(ベルギー、26歳、ロット・ソウダル)
2.アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、37歳、モヴィスター)
3.ティシュ・ブノート(ベルギー、23歳、ロット・ソウダル)
トロフェオ・パルマ(1月29日)
1.ダニエル・マクレー(イギリス、25歳、フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト)
2.マッテオ・ペルッキ(イタリア、28歳、ボーラ・ハンスグローエ)
3.ナセル・ブアニ(フランス、27歳、コフィディス)
グライペルが昨年に引き続き初日勝利。そして、山岳逃げスペシャリストのティム・ウェレンスが2連勝。全体的にロット・ソウダルが活躍を見せる結果となった。
ウェレンスは急成長を遂げている。彼はどんな選手になるのだろう。楽しみだ。
グランプリ・マルセイエーズ(1.1)
1.アルテュール・ヴィショ(フランス、29歳、FDJ)
2.マキシム・ブエ(フランス、31歳、フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト)
3.リリアン・カルメジャーヌ(フランス、25歳、ディレクトエネルジー)
4.ジュリアン・エルファーレ(フランス、32歳、デルコ・マルセイユプロヴァンス)
5.トニー・ギャロパン(フランス、29歳、ロット・ソウダル)
フランス南部プロヴァンス地方・マルセイユを舞台に行われるワンデーレース。クラス1ではあるが、激しいアップダウンを特徴とするコースであり、上位にはスプリンターよりも山をこなせるルーラーたちが名を連ねている。
今年の優勝者は「フランスロードレースチャンピオン」アルテュール・ヴィショ。昨年のその結果がまぐれではないことをしっかりと証明した。また、昨年ブエルタで1勝を果たした新鋭カルメジャーヌも3位に入る大健闘。昨年2位のピノは今年は9位。
昨年はベルギー勢が上位を占めていた気がする。今年はしっかりとフランス勢が結果を出せた形となった。地元チームのデルコ・マルセイユプロヴァンスも数名上位に入れている。
カデル・エヴァンス・グレート・オーシャン・ロード・レース(1.UWT)
1.サム・ベネット(アイルランド、27歳、ボーラ・ハンスグローエ)
2.ダニー・ファンポッペル(オランダ、24歳、チーム・スカイ)
3.スコット・サンダーランド(オーストラリア、イソホエイスポーツ)
4.エドワード・トゥーンス(ベルギー、26歳、トレック・セガフレード)
5.カレブ・ユワン(オーストラリア、23歳、オリカ・スコット)
カデル・エヴァンス・グレート・オーシャン・ロード・レース(1月29日)
1.ニキアス・アルント(ドイツ、26歳、サンウェブ)
2.サイモン・ゲランス(オーストラリア、37歳、オリカ・スコット)
3.キャメロン・マイヤー(オーストラリア、29歳)
4.ホナタン・レストレポ(コロンビア、23歳、カチューシャ・アルペシン)
5.ルーク・ロウ(イギリス、27歳、チーム・スカイ)
今年からワールドツアーレースに昇格したカデル・エヴァンス・グレート・オーシャン・ロード・レースとその前哨戦となるクリテリウムレース。
クリテリウムではダウンアンダーを圧勝したユワンが失速。その借りを返すがごとくサム・ベネットが今期初勝利を遂げた。
また、本戦では、ダウンアンダーでも上位に何度も食い込んでいたニキアス・アルントが勝利。昨年ジロでワールドツアー初勝利を遂げたドイツの新鋭スプリンターが、今年も更なる結果を出すべく発進した。
そしてここでも上位に食い込む謎のレストレポ。本当に楽しみな選手だ。
国籍別勝利数(公式戦のみ)
1.オーストラリア 6勝
2.ベルギー 3勝
3.アルゼンチン 2勝
コロンビア 2勝
ドイツ 2勝
チーム別勝利数(公式戦のみ)
1.クイックステップ・フロアーズ 5勝
2.オリカ・スコット 4勝
3.ロット・ソウダル 3勝
総評
若手スプリンターの台頭
この1月は2人の若手スプリンターが活躍した。1人はオリカ・スコットのカレブ・ユワン。もう1人はクイックステップ・フロアーズのフェルナンド・ガヴィリアだ。若いというだけでなく、2人とも非ユーラシア大陸のスプリンターである、という点でも、新しい時代の到来を感じさせてくれる。
2人も、今年初めて活躍した、というわけではなく、むしろ昨年も同時期に活躍し、大きな期待を寄せられていた選手である。しかしユワンはジロ・ディタリアで思うような結果を出せず、シーズン後半は不調に終わった。ガヴィリアはツール・ド・ポローニュ総合優勝やパリ~ツール勝利など、シーズン後半も結果を出していたものの、グランツールには出場せず、前半ほどの注目は浴びずに終わった印象がある。
しかし今年はともに、昨年以上の結果を出していくことを期待させるようなシーズンの滑り出しだった。とくにユワンは驚異のスプリント4勝(クリテリウム含めれば5勝)を記録。ライバルが格下、というわけでは決してないこのレースで、この勝利数は異様である。
2人もまだまだ若い。ということは、すなわち、まだまだ成長の余地があるということである。今年は昨年果たせなかった念願を果たせるか――すなわち、ユワンで言えばグランツールでの2勝目を、そしてガヴィリアで言えばミラノ~サンレモでの勝利を——非常に楽しみな選手たちである。
また、今年で26歳になるニキアス・アルントも、まだまだ若く楽しみな選手だと言えるだろう。昨年はジロ最終日に(ニッツォーロの降格の結果とはいえ)勝利を果たす。今年もダウンアンダーで常に上位に食い込みながら、カデル・エヴァンス・グレート・オーシャン・ロード・レースでの勝利と、かなり勢いに乗ってきた。キッテルに続きデゲンコルブも放出してしまったチーム・サンウェブの、重要なエーススプリンターの一角として、是非とも華々しい活躍をしてほしいものだ。
チームとしてのスプリント総合力ではボーラ
さて、ダウンアンダーのスプリントではユワンが圧勝してしまったわけだが、実はもう1人――いや、もう1チーム、注目に値する活躍を見せたチームがいる。
それは、ボーラ・ハンスグローエ。言うまでもなく、世界チャンピオンペテル・サガン率いるドイツチームである。
彼らはダウンアンダーでユワンに勝つことはできなかったが、それでも、リザルトにおいてはなかなか驚くべき結果を出している。
クリテリウム:サム・ベネット(2位)、ペテル・サガン(3位)
第1ステージ:サム・ベネット(3位)
第3ステージ:ペテル・サガン(2位)
第4ステージ:ペテル・サガン(2位)、ジェイ・マッカーシー(7位)
第5ステージ:ジェイ・マッカーシー(5位)
第6ステージ:ペテル・サガン(2位)、ジェイ・マッカーシー(10位)
確かにユワンに勝つことはできなかったが、これだけのメンバーを常に上位に入れてくるのは他チームでは真似できない芸当である。
マッカーシー以外は北半球のプレイヤーであり、まだまだ本調子ではないこともあるが、またサガン自体も、まずは春のクラシックに照準を定めており、本気の本気では勝利を狙う態勢でなかったことも考え合わせると・・・実は、このダウンアンダーにおいて、「最もスプリントの強かったチーム」はこのボーラ・ハンスグローエなのかもしれない。
実際、ベネットとマッカーシーにアシストされてサガンが本気のスプリントを繰り出したとき――それは、最強のスプリントチームとなりうるのかもしれない。
このチームを率いて、「王者」サガンは、今年もまた覇道を突き進まんとしているのかもしれない。
まず目標として定めるのはミラノ~サンレモ、ツール・ド・フランドル、パリ~ルーベといったモニュメントたちと――もちろん、その先にはツール・ド・フランスである。
「王者」を守る黒い漆黒のドイツチームが、今後のワールドツアーレースで見せる活躍に、大いに期待していこうではないか。
ティム・ウェレンスは今年も絶好調
1月後半からはヨーロッパツアーも本格的に開始。そのなかで注目されたのが、スペイン・マヨルカ島で4日間にわたって開催された「マヨルカ・チャレンジ」。「4日間連続で同じ地域でワンデーレースが開催される」というやや特殊な形態のこのレースは、昨年もグライペルやカンチェラーラが勝利するなど、1クラスのレースの割には注目度が高い。
今年も初日となるトロフェオ・ポレラスでグライペルが昨年に引き続き勝利。そして続く難関山岳レース、トロフェオ・セッラ・デ・トラムンターナ。獲得標高3000m弱とも言われるこのレースで、ティム・ウェレンスが独走逃げ切り勝利。山岳逃げスペシャリストとしての面目躍如である。
昨年のパリ~ニースおよびジロ・ディタリアの山岳ステージで逃げ切り勝利を果たし、ツール・ド・ポローニュでも総合優勝した26歳のベルギー人。グライペルと並び、ロット・ソウダルの稼ぎ頭として今年も期待大だ。
2月はベテランスプリンターの出番
さて、若手スプリンターの活躍が光った1月期であったが、2月はいよいよベテランスプリンターたちの出番となる。その1つ目が、本日から始まるドバイ・ツアー(2.HC)である。
マルセル・キッテル、マーク・カヴェンディッシュ、ジョン・デゲンコルブ、エリア・ヴィヴィアーニといった錚々たる顔ぶれ。その中に、ディラン・フルーネヴェーヘンやソンニ・コルブレッリといった急成長中の新鋭スプリンターたちが挑んでいく形だ。
このドバイ・ツアーの見どころに関しては以下の記事が詳細に記している。ぜひご参考にしていただきたい。
トップスプリンターの競演。ドバイツアーはこの選手に注目! - サイバナ
本格的な山岳ステージレースにも注目
そして2月はスプリンターたちだけではない! 2月14日から始まるツアー・オブ・オマーン(2.HC)にはティージェイ・ヴァンガーデレンやファビオ・アル、ロメン・バルデといった5月のジロ・ディタリアに出場を決めているトップクライマーたちが集う。ブエルタ・ア・サン・フアンの山岳ステージで勝利したばかりのルイ・コスタも参戦する。そしてディフェンディングチャンピオンのヴィンツェンツォ・ニーバリも、おそらくは参戦するはずだ。グリーン・マウンテンが最後から2番目のステージとして設定されたことで、激しい総合争いが繰り広げられるだろう。
また、昨年このレースでアレクサンダー・クリストフとエドヴァルド・ボアッソンハーゲンが共に2勝と火花を散らした。今年はボアッソンハーゲンがアルガルヴェ1周に参戦するらしく、クリストフの動向が気になる。ノルウェーを舞台とした世界選手権も開かれることから、エースの座を巡る激しいつばぜり合いが繰り広げられるのが楽しみだ。
そして2月15日からはブエルタ・ア・アンダルシア(2.HC)。絶好調のティム・ウェレンスのほか、ワレン・バルギル、ティボー・ピノ、アレハンドロ・バルベルデ、アルベルト・コンタドール、ミケル・ニエベ、そしてキャノンデール・ドラパックはジョー・ドンブロウスキー、ピエール・ローラン、リゴベルト・ウランというスター選手をすべて揃えてきている。我らが新城幸也も参戦し、ヨン・イザギーレやオンドレイ・ツィンクをサポートする。個人的な注目はチーム・スカイのジャンニ・モズコンである。またスプリンターではブライアン・コカールが参戦。ツールの第一線でも戦えるフレンチスプリンターに対抗馬は現れるか?
アンダルシアと同時期に行われるブエルタ・アオ・アルガルヴェ(2.HC)には、ラファル・マイカやミカル・クヴィアトコウスキーが参戦。ここまで調子のいいホナタン・レストレポが、彼らトップクライマーたちに対しどれくらい食らいついていくことができるのか。またスプリンターでも、デゲンコルブ、ニッツォーロ、デマール、ブアニ、ボアッソンハーゲン、フルーネヴェーヘンと豪華な顔ぶれ。
そして極めつけは、今年ワールドツアーに昇格したアブダビツアー(2.UWT)である。ロメン・バルデ、ティージェイ・ヴァンガーデレン、ファビオ・アル、ヴィンツェンツォ・ニーバリ、レオポルド・ケーニッヒ、ラファル・マイカ、ナイロ・キンタナ、ロベルト・ヘーシンク、トム・デュムラン、バウケ・モレマなどが参戦。スプリンターもキッテル、ユワン、ヴィヴィアーニ、ベン・スウィフトと、1~2月期の集大成ともいうべき顔ぶれで、2月の新ワールドツアーレースは最高潮の盛り上がりを見せることだろう。
いよいよ本格的なサイクルロードレースシーズンの開幕。春のクラシックを前にして繰り広げられる、本番直前の予行練習がごとく真剣勝負の数々を、ぜひ楽しみにして待とう。