りんぐすらいど

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シクロクロス初心者ガイド2020-2021 ロードレースとの違いから3大シリーズ戦について、そして注目選手など

 

激動の2020-2021シーズンもいよいよ後半戦。

年末年始の重要レースの連戦や各国国内選手権が控える中、このタイミングで改めて「シクロクロス初心者ガイド」を整備しておく。

2年前にも同趣旨の記事を書いているが、そのアップデート版であり、また最新の注目選手や今シーズンのここまでの展開などもまとめておく。

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まだまだ「初心者」な筆者ではあるが、少しでも同じ立場の人たちの助けになれば幸い。

また、間違いや補足など気づいた点があれば、ぜひコメントやメールやTwitterなどで指摘いただければ幸い。

Mail to suzutamaki.ringsride@gmail.com

Twitter https://twitter.com/SuzuTamaki

 

目次

 

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シクロクロスとは? ロードレースとの違い

シクロクロスとは何か。そのシンプルな問いに対する答えはなかなか難しいが、よく言われる表現としては「自転車による障害物競争」である。

元々はロードレース選手の冬季のトレーニングとして始まったこの競技。雨でぬかるんだ山の中の地面や木々の間、川岸の砂浜などを、専用のバイクを使用して攻略していく。

ときにシケインと呼ばれる段差をバニーホップで乗り越えたり、キャンバー区間と呼ばれる急斜面を横切るセクションをバランスをとって走り抜けたりと、通常のロードレースでは使わない筋力やバイクテクニックを必要とする。

また、そもそも自転車に乗りながらでは絶対に攻略できないような急斜面や階段を越えることもあり、そのときはバイクから降りて担いで走るなどいわゆる「ラン」を行うことも特徴だ。

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そんな過酷なレースがゆえに、レース時間もロードレースよりもずっと短い。

1周3〜4㎞ほどの周回コースを使用するが、周回数が最初から決まっているわけではなく、最初の数周のラップタイムを見て、エリート男子なら1時間、エリート女子なら45分程度になるように周回数が決められる。

1時間の全開高出力バトル。常に見所が続くため、観ている側も楽しめる、そんなレースフォーマットとなっている。

 

また、戦略もロードレースとは大きく異なっている。各チーム決まった人数が出場し、そのチーム戦略が非常に重要になるロードレースと違い、個人戦の様相が強くなる。

もちろん1つのチームから複数名出場してはいるものの、そこが連携することは稀で、先頭に同じチーム同士が抜け出したときは互いに激しいバトルを繰り広げる。このあたりはF1なんかに近いところがある。

また路面状況が悪く狭いことから追い越しをすることも容易ではないことがあり、スピードも相対的に遅いことからロードレースで重要な風除けという概念はほぼほぼ考えなくてよくなる。

結果、集団の先頭に立つメリットがデメリットよりも大きい場合も多く、ロードレース特有の駆け引きよりは、純粋にパワーとテクニックのぶつかり合いとなりやすい。

 

そしてロードレースの複雑さと面白さをもたらす「脚質」の概念もまた、シクロクロスにおいてはほとんど意味をなさない。

人によって「担ぎ」が得意とかバニーホップが苦手とかさまざまな特徴はあれど、それが大勢を決する要素になることは少ない。もちろんロードレースのスプリンターやクライマーのような明確な違いなどありようもない。

 

その結果、トップレースの上位に来る選手は男女とも似たような顔ぶれが揃うことになり、「覚えるべき選手」の数も必然的に少なくなる。

先のレース時間や見どころの連続という点も含め、意外とロードレースよりも遥かに「とっつきやすい」競技なのは間違いない。

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そしてもちろん、このシクロクロスで活躍している選手たちが近年、ロードレース界に大きな影響をもたらしつつある。

マチュー・ファンデルポールやワウト・ファンアールトは言うまでもなく、昨年のベルギー国内ロード王者だったティム・メルリエや、今年のドイツ国内選手権ロードでパスカル・アッカーマンを打ち破り王者となったマルセル・マイセンなんかはシクロクロスの選手である。

 

ドゥクーニンク・クイックステップのゼネク・スティバルなんかは元シクロクロス世界王者であり、その他マイク・テウニッセンやゴルカ・イサギレ、クレマン・ヴェントゥリーニなんかもオフシーズンにシクロクロスを走ることが多い。かのジュリアン・アラフィリップも、ジュニア時代はシクロクロス選手であった。

単純な出力やバイクコントロール技術など、若いときに身につけておくべきスキルを鍛えられるシクロクロスは、これからも未来の名ロードレーサーを生み出す土壌となることだろう。

 

 

あともう1つ、ロードレースとの違いを挙げるとすれば、そのローカル性である。

ロードレースも大概ヨーロッパ偏重主義ではあるものの、それでも近年はかなりワールドワイドになってきた。

しかしシクロクロスはリザルトを見ればわかるように、トップ選手のほとんどがベルギーとオランダで占められている。

この状況の変化を求め、近年はUCIが主催するシリーズ戦「ワールドカップ」にてアメリカやチェコなど非ベルギー・オランダのトップレースを増やしたり、トム・ピドコックのような英語圏の選手やフランス、スペインなどまだまだシクロクロス後進国の選手たちが力をつけつつある。

だがしばらくはベルギー・オランダ2強体制は崩れることがなさそうで、その国籍の偏り具合は、ロードレースに見慣れた人たちにとってはかなり奇異に映ることだろう。

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そんな、ロードレースとの違いをいくつも持つシクロクロス。

以下では、いよいよシクロクロスの中身について確認していく。

 

 

 

3大シリーズ戦について・今年のここまでの展開

それではシクロクロスを見る上で、どのレースを観たら良いのか? そもそも日本ではどのレースを観れるのか? というところに応えていこう。

 

まず押さえておくべきは、「3大シリーズ戦」と呼ばれる3種のレース群である。

ロードレースと違ってシクロクロスは「ステージレース」なるものは存在しない。すべてワンデーレースとなるわけだが、ロードレースにおけるウィメンズ・ワールドツアーのような(あるいはJプロツアーや昔のワールドカップのような)「シリーズ戦」という概念がある。

すなわち複数のワンデーレースをひとまとめにして、その中の順位に基づいたポイントなどを集計して「シリーズ総合優勝」を決めると言うやり方だ。

その複数のシリーズ戦の中でも、とくにバリューの高い3つのシリーズ戦が、ここでいう3大シリーズ戦というやつで、いわば男子ロードレースにおけるグランツールのようなもの、と思ってくれればいい。

 

以下ではその3大シリーズ戦について、それぞれ過去の総合優勝者なども含めた歴史の部分と、そして今シーズンのここまでの展開について解説していく。

なお、今年の3大シリーズ戦は序盤の数戦を除きほぼ全戦「りんぐすらいど・のーつ」でレースレポートを書いているので、詳細はそちらを参照ください。

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スーパープレステージュ

3大シリーズ戦の中では最古のシリーズ戦であり、初開催は1982-1983シーズン。ベルギーおよびオランダでレースを開催している。全部で8戦開催されている。

過去10年の男女総合優勝者はこちら。

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シクロクロス界の「カニバル(人喰い)」ことスヴェン・ネイスが最多の13回総合優勝を記録しており、2006-2007シーズンには全8戦すべてを勝利している。

そんなネイスの記録に並ぶ「全8戦勝利」達成を果たしたのが、2018-2019シーズンのマチュー・ファンデルポール

「怪物」はやはり歴史にその名を刻む活躍を見せているというわけだ。

 

今年のここまでのリザルトは下記の通り。

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男子では毎回優勝者が入れ替わる激戦を呈しており、12/6の第5戦「ガーフェレ」ではトム・ピドコックがマチュー・ファンデルポールを打ち破る歴史的な一戦が巻き起こる。

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翌第7戦「ヒュースデン=ゾルダー」ではファンデルポールが本来の圧倒的な強さを発揮して圧勝するが、総合争いには関わることがないため、むしろ2位以下の争いが白熱する結果となった。

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とくに、第6戦まで総合首位に立っていたエリ・イゼルビットがこのレースで落車し、左肩を脱臼。

最終戦は2月のため復帰は可能だろうが、以下の通り首位争いはトーン・アールツとかなりの接戦となっている。

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ちなみに、スーパープレステージュの配点は下記の通り。

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イゼルビットがアールツを抜くためには、彼よりも最低でも5つ以上上の順位でフィニッシュしなければならない。

決して簡単ではないが、アールツも最新の第7戦で7位9ポイントに終わっているなど安定しないところもあるため、可能性はまだまだある。

そして、3位マイケル・ファントーレンハウトから5位ラース・ファンデルハールまでわずか2ポイント差で3人が団子になっているため、このあたりの総合表彰台争いにも注目していきたい。

 

 

女子では先の表通りルシンダ・ブラントが第3戦以降連勝しており、総合でも首位に。

ただし、最初の2戦を優勝し、その後も2位か3位を死守し続けているセイリン・アルバラードも食らいついており、その差はわずか3ポイント。

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直近のレースでも常にブラントが上手のためアルバラードの逆転は難しいだろうが、ワンミスでひっくり返りうるだけに2月、あまりにも先のその頃、どんな「紛れ」が起きるか、まだまだ分からない。

 

 

男子も女子も白熱の総合争いを繰り広げるスーパープレステージュ。

2月頭の最終戦も楽しみにしておこう。

 

 

 

X2Oバドカマー・トロフェー

スーパープレステージュに続き、1987-1988シーズンから始まったシリーズ戦。

全8戦すべてがベルギー国内で開催されるのが特徴。

昨年まではスポンサーが異なり、DVVフェルゼクリンゲン・トロフェーと呼ばれていた。その前はBポスト・バンクトロフェーである。

 

過去10年の男女総合優勝者はこちら。

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こっちもスヴェン・ネイスが9勝で男女合わせて最多総合優勝数を誇っている。

 

今年のここまでのリザルトは下記の通り。

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男子第3戦「アントウェルペン」ではマチュー・ファンデルポールが復帰緒戦でいきなり強さを見せつけて勝利。一方、翌日のスーパープレステージュ第5戦「ガーフェレ」では先述したピドコックによる「マチュー倒し」を果たしてもいる。

そして、このX2Oトロフェー第4戦「ヘーレンタルス」では、ファンデルポールのパンクにも助けられてのワウト・ファンアールト今期初勝利。

のちにUCIワールドカップで力でもファンデルポールを打ち倒しており、シーズン序盤はなかなか勝ちきれない苦しさを味わっていたファンアールトの完全なる復調が見えてきて非常に面白くなってきている。

 

そして、総合争いでは下記の通り。

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スーパープレステージュとUCIワールドカップと違い、このシリーズ戦だけはロードレースのように「タイム差」で争われる。

マチュー・ファンデルポールとワウト・ファンアールトはそれぞれ2戦ずつ欠場しており、1戦欠場するごとに「5分」のタイムペナルティを与えられるため、現状この位置にいる。

序盤に2勝しているイゼルビットが総合2位ファンデルハール以下を突き放しており余裕・・・のように見えるのだが、先述したように12/26のスーパープレステージュ第7戦「ヒュースデン=ゾルダー」でイゼルビットが左肘を脱臼。

もしこの結果、X2Oトロフェー第5戦「バール」に欠場するようなことがあれば・・・イゼルビットが総合争いから脱落するだけでなく、2位以下の総合タイム差が接戦となり、残り4戦でどうなってしまうのか、全く予想がつかなくなる。

 

さらに言えば、マチュー・ファンデルポールやワウト・ファンアールトと総合2位ラース・ファンデルハールとのタイム差が6分前後であることも恐ろしい。

実際、第4戦「ヘーレンタルス」ではファンアールトがマイケル・ファントーレンハウトを1分32秒、トーン・アールツを2分15秒、ラース・ファンデルハールに対しては2分48秒ものタイム差をつけて圧勝している。

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恐るべき怪物マチューとワウトがまさかの大逆転総合優勝という可能性もありうる・・・実に混沌とした状況にあるのがこの男子X2Oトロフェーである。

 

 

そして女子ではやはりこちらもブラントが圧倒中。

とはいえ、第3戦でブラントを打ち破ったデニーセ・ベツェマが53秒差と、逆転も不可能ではない位置についてはいる。

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実際、残り4戦。まだまだ予想はつかない状況とはいえ、シーズン終盤に向けて、ブラントの好調がどこまで続いていくのか・・・見ものである。

 

 

 

UCIワールドカップ

その名の通りUCIが主催する「世界」を舞台にしたシリーズ戦。

初開催は1993-1994年と他2つに比べると随分新しい。

そして、ベルギー・オランダでほぼ完結する他2シリーズと違い、意識的に世界各国を舞台にしており、例年最初の2戦は北米で、その他もチェコやスイスなど主要国以外での開催に積極的だったりする。

また、総合リーダー(およびU23リーダー)には特別ジャージを用意するなど、ロードレースファンにも身近な仕組みが多数用意されており、今後のさらなる拡大に個人的には期待していきたいシリーズ戦でもある。

同じUCI主催の世界選手権と合わせYoutubeで無料フル視聴可能なことも特徴。今年はGCN passでも放映しており、日本では唯一日本語実況がついている。

実況者は日本のシクロクロスレースでも現地実況している小俣 雄風太氏。知識豊富な彼の実況は非常に参考になり、必見である。

過去10年の男女(+U23)総合優勝者はこちら。

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男女ともにイタリアやドイツ、アメリカなど総合優勝者が多国籍に渡るのも実にワールドカップらしい。2009-2010シーズンの男子ではチェコ人のゼネク・スティバルが総合優勝している。

最多総合優勝者はこちらもスヴェン・ネイスで6勝。

 

今期のここまでのリザルトは下記の通り。

(元々は全11戦を予定していたが新型コロナウイルスの影響で全5戦に縮小)

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男子ではワウト・ファンアールトが全戦出場しており、初戦ターボルこそ3位で終わったものの、マチュー・ファンデルポールとトム・ピドコックとの激戦を繰り広げた第2戦「ナミュール」で2位。

そして第3戦「デンデルモンデ」ではファンデルポールすらも圧倒する走りで優勝。第1戦で勝利しているマイケル・ファントーレンハウトを抜いて総合首位に立った。

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その差、11ポイント。

UCIワールドカップの各順位の配点は下記の通り。

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※16位以下も25位まで1ポイント刻みで配点あり。

 

一応、ファンアールトが3位以下に沈み、ファントーレンハウトが優勝すれば、1戦で逆転できるポイント差ではある。

残り2戦であり、ファンアールトもまだまだ安定しているとは言い難い部分もありそうなので、総合争いの行方は見えない。・・・ファンデルポールも不気味な位置にいる。

 

 

 

UCI世界選手権 

以上、3大シリーズ戦の紹介となったが、もちろんこの「上」に存在するのがUCI世界選手権である。

世界選手権の過去10年の男女(U23含む)優勝者の一覧は以下の通り。

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なお、3大シリーズ戦すべてと世界選手権を完全制覇する「グランドスラム」を達成したのは、2004-2005シーズンのスヴェン・ネイスと、2015-2016シーズンのワウト・ファンアールトのただ2人だけ。

そして今年の世界選手権は誰が制するのか・・・過去2年の圧倒ぶりを今年のファンデルポールは見せ切れておらず、昨年2位のトム・ピドコックに注目が集まってきている。もちろん、最近復調気味のワウト・ファンアールトも。ベルギーではマイケル・ファントーレンハウト、エリ・イゼルビットらも今期かなり期待の足を持っているのは間違いない。

そして女子ではルシンダ・ブラントが最右翼であることは間違いないが、昨年王者のアルバラードも決して悪くなく、またそこに食らいつくデニーセ・ベツェマ、アンマリー・ウォルストなどが初の世界王者に手を届けることができるか。

 

例年以上に混戦が期待される今年の世界選手権。

1/31(日)にベルギーのオーステンデで開催される今年の世界選手権は、新型コロナウイルス騒動の真っ只中だけに、無事に開催されるかどうかも楽観視はできない。

それでも、ぜひ開催されて・・・激戦が巻き起こることを期待したい。

 

 

 

2020-2021シーズンの注目選手たち

最後に、今シーズン注目すべき活躍を見せている選手たちの紹介を行っていきます。

男子と女子。それぞれ年齢は2021/12/31時点のものとします。

 

 

男子 

マチュー・ファンデルポール(オランダ、26歳)

アルペシン・フェニックス所属

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言わずと知れた現役最強のシクロクロッサー。2012年からジュニア世界王者を2連覇し、2015年から6年連続でオランダ国内王者に輝き、3度のヨーロッパ王者と3度の世界王者を経験。 エリートでの通算勝利数は137に及び、2018-2019シーズンは34戦中32勝、2019-2020シーズンは25戦中24勝という圧倒的な勝率を誇っている。

2020シーズンはロードレースでも更なる飛躍。前年のアムステルゴールドレース勝利に続き、2020シーズンは世界最高峰のワンデーレース、ロンド・ファン・フラーンデレンでワウト・ファンアールトを破り優勝。さしもの彼も、立ちながら涙するに至る。

そしてマウンテンバイクにおいても、生ける伝説ニノ・シューターを何度か打ち破る姿を見せ、2021年の東京オリンピックではクロスカントリーでの金メダルを目指す。

シクロクロスの枠にとらわれない活躍を見せる「自転車の天才」は、逆を言えば、もはや敵なしとなってしまったシクロクロスにおいては、注力し続けるだけのモチベーションを、すでに失いかけていることを示唆するコメントも残していた。

今期、シクロクロス初戦となる12/12(土)X2Oトロフェー第3戦アントウェルペンでは早速勝利。

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しかし翌日のスーパープレステージュ第6戦ガーフェレではまさかのトム・ピドコックに対しての敗北。それも、力で真正面からねじ伏せられる形で。

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その後もパンクが原因とはいえ、12/23(水)X2Oトロフェー第4戦ヘーレンタルスではワウト・ファンアールトに負け、さらに12/27(日)ワールドカップ第3戦デンデルモンデでは、乗車率の低い重馬場の戦いにおいて今度は完全にファンアールトに力負けする姿も。

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ヘーレンタルスでもデンデルモンデでも、敗北がほぼ確定的になったあとはどこか執念のようなものが消えた流すような走りを見せていたファンデルポール。

それでも後続には追い付かれることのないペースだったし、総合争いも最初から考えていない状況なので、勝てない以上そういう走り方をすることに何も不思議はないのだが、どこか彼のこのシクロクロスに対するモチベーションに不安を覚えるシーンではあった。

 

だが一方で、ガーフェレでの敗北の直後、ピドコックとワウト・ファンアールトとの三つ巴の激戦を繰り広げた今年最高峰のレース「ナミュール」において、勝利した彼が見せた「出し尽くした」姿に、これまでの彼にはない思いの強さを感じ取った。

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もし彼が「敵なし」であることに本当に退屈を感じているのであれば、安定感はなくともその爆発力でマチューを完全に手玉に取ったピドコックの存在と、マチュー復帰と共に復調し、すでに今期彼に2勝しているワウト・ファンアールトの存在は、その退屈を紛らわし、再び闘争本能に火を点けるに十分値する存在であると言えるだろう。

最近はピドコックがまだ調子が出ない様子が続いているのが残念だが、これがまた状態を取り戻したとき――たとえば世界選手権で――このナミュールに匹敵する激戦が繰り広げられることを楽しみにしている。

 

マチュー・ファンデルポール。世界最高峰の「自転車の天才」。

しかし彼はまだ、シクロクロスを完全に抜け出すには少しだけ早い。その圧倒的な強さでもって、ピドコックや、イゼルビット、そしてもしかしたらライアン・カンプなどのようなこれからの時代を担う若者たちに、多くのものを遺していってほしい。

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ワウト・ファンアールト(ベルギー、27歳)

ユンボ・ヴィズマ所属

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すでに述べているように、スヴェン・ネイスと並ぶ「グランドスラム」達成者であり、マチュー・ファンデルポール同様に世界選手権を3度制している、現役のみならず歴代でも最高峰の選手である。エリート勝利数は62勝

その実力はすでにシクロクロスの領域を抜け出ており、ロードレースの分野でも世界トップクラスに。とくに2020年シーズンは、ストラーデビアンケとミラノ~サンレモを同時に勝ち、ツール・ド・フランスでも一流スプリンターたちを斥けて2勝。さらには超級山岳グラン・コロンビエの激坂を半分近くに先頭で牽き続け、多くのクライマーたちを突き放す驚異の登坂力も見せた。そして世界選手権ロード2位、ロンド・ファン・フラーンデレン2位である。

ゆえに、というべきか。ここ数年のマチュー以上のロードでの適性を見せる中で、少しずつ「本職」シクロクロスでは力を失いつつあるように見えた。昨シーズンはツール・ド・フランスでの大怪我の影響もあり、復帰はしたものの7戦1勝に留まる。今年もマチューより一足先に11/28(土)X2Oトロフェー第2戦コルトレイクでシクロクロス初戦を迎えるが、思うような走りはしきれず、3位に終わった。

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その後も表彰台を逃すことも含め、本来の力を取り戻せずにいたファンアールト。

しかし、実際にマチュー・ファンデルポールが参戦し始め、その直接対決が始まると共に復調。

ナミュール」においてはトム・ピドコックすら突き放していった「本気のマチュー」にしっかりと食らいつき2位。「ヘーレンタルス」ではマチューの落車に助けられての優勝。「ヒュースデン=ゾルダー」では逆に自らがパンクしたせいでマチューに敗北しての2位。そして最新の「デンデルモンデ」では今度は真正面から力でマチュー・ファンデルポールを徹底的に叩きのめした。

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乗車時のテクニックやパワーではまだマチューに敵わないところがありながらも、自転車を降りてランを行う区間ではファンアールトが一枚上手なことが多いようだ。

ナミュールの超激坂しかり、デンデルモンデのスーパーマッドな重馬場しかり・・・。

当初は世界選手権において、ベルギーチームのエースの座をエリ・イゼルビットに奪われかねないとすら思われていた中でのこの復調(そしてイゼルビットの不調)で、今年もしっかりとエースで世界選手権に臨むことができそうだ。

今年の世界選手権は3年ぶりの「マチュー倒し」が実現する可能性は決して低くない。久々の世界王者の座を手に入れることができるか? 

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トム・ピドコック(イギリス、22歳)

トリニティ・レーシング所属

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すでに何度も言及しているように、今年のスーパープレステージュ第6戦「ガーフェレ」でマチュー・ファンデルポールを真正面から打倒した男である。

その後はまた安定感なく下位に沈むことも多いが、それでも爆発力においてはイゼルビットすら超え、 マチュー・ファンデルポールとワウト・ファンアールトという「怪物」たちの間に割って入ることのできる実力をもつ男として、今最も注目を集める新世代である。

ロードレース、マウンテンバイクにおいても2020年シーズンは稀有な才能を発揮しており、そのあたりも含めた下記記事を参照のこと。

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過去の戦績を振り返ると、国内選手権は2017年のジュニア時代、2018年のU23時代、そして2019年からのエリート時代を2年と計4年連続で制覇。ヨーロッパ選手権と世界選手権はジュニアとU23でそれぞれ2016-2017シーズンと2018-2019シーズンで同時に制している。

そして昨シーズン、エリートでの初挑戦となった世界選手権で、エリ・イゼルビットを斥けてマチュー・ファンデルポールに食らいつく2位・銀メダルを獲得。名実共にマチュー・ワウトに次ぐ才能であることを示した。

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課題はその安定性。今期、3大シリーズ戦は7戦走っているが、その成績は17位→9位→3位→1位→3位→9位→リタイアと安定しない。チームがどうしても「後進国」イギリスの専門チームであることや新型コロナウイルスの影響も大いにある中なので仕方ない部分もあるだろうが、今年の世界選手権の台風の目となること必至な存在だけに、しっかりと調子を取り戻していってほしい。

 

 

エリ・イゼルビット(ベルギー、24歳)

パウェルズ・サウゼンビンゴール所属

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2016年と2018年にU23世界王者に輝き、今年はついにエリートのヨーロッパ選手権で優勝。もちろん、マチュー・ファンデルポールもワウト・ファンアールトもいない中ではあるが、彼ら「怪物」を除いたシクロクロス界においては頂点に立っている男と言っても過言ではない。

とくにシーズン序盤の勢いはすさまじく、昨シーズンは11月中盤までの13戦中7勝。のこり6戦中4戦も2位という圧倒的な勝率を誇っていた。今シーズンも12/12の「アントウェルペン」までは14戦中6勝。表彰台を逃したのは非3大シリーズ戦での1戦しかない。

しかしとくにマチュー・ファンデルポールが出場し始めるころには段々とその勝ちの勢いも薄れていく。

今年に関しては直近4戦の成績が4位→31位→5位→そして「ヒュースデン=ゾルダー」における左肘脱臼によるリタイアである。

3大シリーズ戦でもスーパープレステージュでは最新のヒュースデン=ゾルダーでトーン・アールツに抜かれており、2月の最終戦で逆転できるかどうかは微妙な状況。

X2Oバドカマー・トロフェーでは2位以下に2分以上のタイム差をつけて圧倒的優勢を誇っているが、1/1の「バール」へ出場できるかどうかが現在、不明確。もし出場できなければそれだけで5分のタイムペナルティが課せられるため、総合優勝は絶望的になる。

高い実力を持ちながらも、まだ3大シリーズ戦での勝利は昨シーズンのDVVトロフェーでしか経験のないこの男。まだまだ若く、可能性には満ち溢れているだけに、「復活」を期待したい。

何しろ、上記3名と違い、ほぼシクロクロス専属選手であり、シクロクロッサーとしての意地と誇りを見せなくてはならないのだから。

 

 

マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、28歳)

パウェルズ・サウゼンビンゴール所属

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2015年のU23世界王者。エリートでの勝利数は8回。

ベルギー人であり、同じパウェルズ・サウゼンビンゴール所属ということで、エリ・イゼルビットの「ライバル」としての存在感を示している。ときに彼をアシストすることもあれば、彼を打ち倒して自ら勝利を掴む場面も。その実力は間違いなく、ベルギー代表の中でもパウェルス・サウゼン・ビンゴールの中でも、イゼルビットと彼とどちらが「上」かは簡単に言い切ることはできないだろう。イゼルビットとの戦績は100戦中47勝と、接戦だ。

ただ、やはりワウト・マチューの「怪物」たちにはなかなか届かない・・・今年のUCIワールドカップでは、イゼルビットの不調もあり総合首位を走り、初の3大シリーズ戦制覇に向けて邁進していたが、復調してきたワウト・ファンアールトによって最新の「デンデルモンデ」で逆転されてしまった。

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「中堅の星」として、まだまだ若手には負けない姿を見せてほしい。

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トーン・アールツ(ベルギー、28歳)

テレネット・バロワーズ・ライオン所属

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2016年のヨーロッパ王者。エリートでは19勝を記録している、シクロクロス専属選手の中では間違いなく現役でイゼルビット、ファントーレンハウトに並ぶ実力者である。2019年にはベルギー国内王者に輝き、2018-2019シーズンと2019-2020シーズンでは2年連続でUCIワールドカップ総合優勝に輝いた。

とくに2018-2019シーズンにおけるワウト・ファンアールトとの激戦の歴史は下記記事を参照してほしい。

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安定感はまだまだ課題だ。とくにチーム力においてはパウェルス・サウゼン・ビンゴールに負けているため、序盤に彼らに包囲されてしまうと苦しい展開が続く。

一方でマチュー・ファンデルポールらが参戦し始めるとこのパウェルス包囲網が崩壊することが多いので、その隙にマチューに食らいついていって抜け出す場面も。

ただ、序盤でマチューらに食らいつきすぎていった結果、体力を失い、後半で「タレ」る場面も多々・・・。そうしないとどうしようもないのは確かだが、「怪物」と「非・怪物」との差をまざまざと見せつけられる瞬間である(というか1時間が常にフルガスで走り続けられる方がおかしいのだが・・・)。

しかし歴戦のその経験値の高さからとくにテクニック面ではイゼルビットやファントーレンハウトを上回る場面も多く見られ、イゼルビットとの通算戦歴では95戦中64勝。ファントーレンハウトとは252戦中139勝といずれも勝ち越している。

現在、残り1戦となったスーパープレステージュでは逆転総合首位に立っている。総合2位のイゼルビットとのポイント差は5ポイント。順位が1つ違うと1ポイント差がつくスーパープレステージュの配点システムにおいてこの差は決して小さくはない。

「まだまだ若いものには負けない」。その意地を見せられるか。

 

 

ライアン・カンプ(オランダ、21歳)

パウェルズ・サウゼンビンゴール所属

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昨年のU23世界王者。国内選手権ではジュニア、U23時代通算で2018年から3年連続で頂点を獲っており、オランダ国内ではマチュー・ファンデルポールに次ぐ才能として注目を集めている。ヨリス・ニューエンハイスもその立場だったのだが、ここ2年程、イマイチ結果を出し切れていないため・・・。

今年は各レースでU23レースが開催されないため、彼もエリートカテゴリでの出場を行っている。その中でも決して臆することなくトップ選手たちと渡り合い、「ギーテン」「コルトレイク」「ボーム」では6位という結果を叩き出している。

これからまだまだ伸びることが期待できる存在。2020年代のシクロクロスの、とくにオランダを背負って立つ男となるだろう。

 

 

女子 

ルシンダ・ブラント(オランダ、32歳)

テレネット・バロワーズ・ライオン所属

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2018年と2019年に国内王者に輝いたことはあるが、ヨーロッパ王者、世界王者とも経験なし。

ロードレースでも活躍している選手で、そちらでも2度の国内王者と、オンループ・ヘットニュースブラッドでの勝利やアムステルゴールドレースでの2位などのリザルトを残している。

決して「最強」ではなかったはずの彼女だが、今年は圧倒的な強さを見せ続けており、女子版マチュー・ファンデルポールとでもいうような(そして今期に限って言えばそれ以上の)強さを発揮し続けている。

今期、実に18戦中11勝。しかも表彰台を逃したレースは「1つもない」という安定感の高さ。なお、2016年から続く過去のエリート勝利数は26だが、その半分近くを今年で稼いでいるという結果だ。

今年の3大シリーズ戦では当然のようにすべて総合首位。これまでは3大シリーズ戦も世界選手権もいずれも制したことのない「無冠の帝王」たる彼女が、今年はそのすべてを掻っ攫い、女子ではおそらく初となる(そして男子と合わせても3人目となる)「グラントスラム」を達成しかねない。

果たしてそう、うまくはいくのか。まずは実質的な世界選手権に匹敵すると言われる1/9(土)オランダ国内選手権での走りに注目だ。

 

 

セイリン・アルバラード(オランダ、23歳)

アルペシン・フェニックス所属

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セイリン・デルカルメン・アルバラードとも。ドミニカ共和国出身。

昨年わずか21歳で世界の頂点を制した若き世界王者。エリート入りした昨年は30戦中16勝。表彰台を逃したのはわずか3回しかないという圧倒的な勝率を誇り、3大シリーズ戦もスーパープレステージュとDVVトロフェーを総合優勝し、ワールドカップも2位という結果となった。

マウンテンバイク・クロスカントリーでも活躍しており、今年はU23国内王者に輝くと共に、ワールドカップでもU23王者に。世界選手権でもU23部門で銅メダルとなっている。ロードレースにも積極的に参戦する予定のようで、所属チームも相まってこちらこそ女子版マチュー・ファンデルポールとなるかと期待されていた。

今年もヨーロッパ選手権を制し、スーパープレステージュも最初の2戦を制しており、その絶好調は続くか・・・と思われていた中で、突如立ち塞がったルシンダ・ブラントという存在。

アルバラード自身の不調やメカトラブルなども繰り返され、「アントウェルペン」では23位という大きな痛手も負う。その後も常にブラントに次ぐ2位というわけにはいかず、デニーセ・ベツェマやクララ・ホンシンガーなどにも敗れることもあるなど、昨年ほどのコンディションではないことが伺える走りとなった。

もちろん、まだまだエリート2年目。最強を期待するには早すぎるのも確か。今年はマウンテンバイクで好調だっただけに、その影響も捨てきれないだろう。

今年はもしかしたらブラントには勝てないかもしれない。けれど、その強さはこの先の2020年シーズンにも轟き続けることだろう。

ただし、さらなる若い世代からも着実に伸びてきつつある存在が・・・。

 

 

アンマリー・ウォルスト(オランダ、26歳)

777所属

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2018年U23世界王者。エリート通算16勝。

昨シーズンはUCIワールドカップで総合優勝。3大シリーズ戦を唯一アルバラードの手から奪い取り、彼女のグランドスラム達成を阻止した女だ。

今年も勝利はX2Oトロフェー初戦「オウデナールデ(コッペンベルフクロス)」 のみだが、それ以外でも上位に入ることは繰り返しあり、ブラント、アルバラードに次ぐ実力者として認知されている。

 

 

デニーセ・ベツェマ(オランダ、28歳)

パウェルズ・サウゼンビンゴール所属

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エリート通算19勝。ただし、そのうちの5戦が、ドーピング陽性に伴う出場停止処分と合わせて剥奪されている。

今年、 「アントウェルペン」での激戦で「最強」ルシンダ・ブラントを力で突き放し、2年前の同じアントウェルペン以来となる3大シリーズ戦勝利を成し遂げた。

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実力は上記選手たちに匹敵するものをもった彼女。出場停止という過去を乗り越えて真の強さを発揮することができるか。

 

 

サンネ・カント(ベルギー、31歳)

IKOクレラン所属

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偉大なる女王。 エリート通算119勝。国内選手権は2010年以来11連勝。世界王者には2017年~2019年で3連覇を果たした。3大シリーズ戦でも合計13回の総合優勝を記録しており、女子では随一の成績を誇っている。

しかし、王者というのはやがて、世代交代をしなければならない運命にある。昨シーズンから少しずつその勢いは衰えを見せ始め、今期に関してはここまで1勝もできず。急速なその失墜は、女子シクロクロス界におけるベルギーの勢いの減衰そのものを思わせる。

直近の12/30に行われたエティアスクロス「ブレーデネ」でも苦しい姿を見せたものの最終的には意地を見せて巻き返し、2位。今季初の表彰台。

王者であり続けることは過去のものになったかもしれない。それでもまだ、その闘志は揺るがない。

あとは、ベルギー国内から彼女に次ぐ存在が現れない限り・・・。アメリカはそれが果たされつつある。では、ベルギーは? この「ブレーデネ」で3位になったアリシア・フランクももう来年27歳で決して若手ではないので・・・。悩ましい問題である。

 

 

クララ・ホンシンガー(アメリカ、24歳)

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その見事な世代交代を果たしたのがこのアメリカの新星である。

それまで15年間に渡りアメリカ王者の座を手にし続けていたケイティ・コンプトンをついに打ち倒し、頂点に。それだけでなく、UCIワールドカップ第2戦「ナミュール」ではベツェマやアルバラードを力で打ち倒し、初の表彰台となる2位に。

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続くUCIワールドカップ第3戦「デンデルモンデ」でも同じくアルバラードたちを打ち倒して2度目の2位を獲得する。このときもドロドロの超マッドコンディションの中で、一度はブラントすら突き放す走りを見せていたセイリン・アルバラードを後方から徐々に追い上げていき、最後はしっかりとこれを突き放して見せた。

実に強い走りであった。

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まだまだ「王者」を掴み取るには早いと思うが、それでもここ2~3年の間にその座を手に入れることは不可能ではないだろう。

そうなれば名実ともにコンプトンに匹敵する存在になりうる。今最も期待すべき若手選手の1人だ。

 

 

カタ・ヴァス(ハンガリー、20歳)

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男子ロード界でもアッティラ・ヴァルテルなどその才能が台頭しつつあるハンガリー。女子シクロクロス界では一足先に、類稀なる才能が生まれつつある。

それがこのカタ・ヴァス。ブランカ・カタ・ヴァスとも。 まだわずか19歳。来年20歳という若さながら、ジュニア時代からエリートのレースに混じって走り続けており、今年は3大シリーズ戦ではないもののすでに3勝。直近のエティアスクロス「ブレーデネ」でもサンネ・カントやクララ・ホンシンガーらを打ち倒して勝利している。

3大シリーズ戦でも「ターボル」で4位、「ナミュール」で5位など、エリート相手に互角の戦いを繰り広げている。

とにかく、まだまだ若い、というのが恐ろしい。

無限の可能性を秘めたハンガリーからの刺客。その動向に、これからも注目していこう。

 

 

まだまだ注目の選手はいるけれど、キリがないのでここまで!

「ちゃりよるむ」さんによる過去の記事も参考にどうぞ!

chariyorum.com

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年が明けてシクロクロスシーズンはさらに盛り上がりを見せること必至!

1/9には国内選手権、そして1/31には世界選手権!

そこに向けて3大シリーズ戦でも鎬が削られていくだろうし、それぞれの年間総合争いも白熱していく。

各シリーズの今後のスケジュールを再度確認しておこう。

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まだまだここからでも間に合う今シーズンのシクロクロス!

ここまでの展開をこの記事で確認しつつ、新シーズンをまずはシクロクロスで盛り上がりつつ過ごしていこう!

 

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