りんぐすらいど

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【ブエルタ2019】チーム・サンウェブ出場全選手プレビュー

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略号:SUN

国籍:ドイツ

GM:イヴァン・スペークンブリンク

創設年:2005年

使用機材:サーヴェロ

 
ジロの落車の影響が想像以上に長引き、トム・デュムランはツールに続きこのブエルタも欠場を決めた。

よって、空白となった総合エースの座を担うのは、過去総合4位経験のある男、ケルデルマン。彼自身も3月のカタルーニャでの落車骨折の影響が長引き、ツールを途中リタイアしたうえで、その後のレース経験はない。

正直未知数だが、個人的にはせっかく掴んだこのチャンスを活かしてほしいという思いはある。

 

ただケルデルマンでの総合狙いはどうしても未知数になる分、チームとしてもそこだけに集中するつもりはないようだ。

アシストの最前線に立つ男ロッシュは彼自身の勝利も狙えるほどブエルタとの相性は良い。その他のアシストは若手中心で、本命と言うよりはまずは経験といったメンバーだ。

むしろ重点はスプリントに置かれているかもしれない。ヴァルシャイドはシーズン当初からこのブエルタに焦点を置いてきた。アルント、ペダースンと彼をアシストする体制も整っている。

正直、成績を期待できるラインナップではないサンウェブ。だからこそのサプライズな結果を期待している。

 

※年齢はすべて2019/12/31時点のものとなります。 

※身長、体重はProCyclingStatsを参照しております。

 

 

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ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、28歳)

オールラウンダー、185㎝、65㎏、出場日数:45日

Embed from Getty Images

ラボバンクの育成チーム出身。ラボバンク=ロットNLユンボに2016年まで在籍していたが、2年前からサンウェブに。オランダで最もツール制覇に近い男デュムランのアシストとして抜擢された。

しかし、彼自身もまた、エースを担えるだけの実力を持っていた。2017年のブエルタ・ア・エスパーニャでは総合4位。その強さの秘訣は、デュムランにも劣らない個人TT能力の高さ。稀代のオールラウンダーとして大成する素質は十分にあった。

 

そんな彼にとっての2019年は、我慢の年となるはずだった。チームから与えられた使命は、ジロとツールにおけるデュムランのアシスト。彼自身がエースとして走るグランツールは許されない、予定だった。

最初の「予定外」は、彼自身の、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでの落車骨折。鎖骨と椎骨を折ってしまった彼はそのままジロをパスすることとなった。

もう1つの「予定外」は、デュムランのジロでの落車によるツール、そしてブエルタの欠場である。

ケルデルマン自体も落車の怪我の後遺症に悩まされ、ツールはリタイアしたものの、今回のブエルタでは、年初の予定では許されていなかったグランツールのエースの座を再び手に入れた。

 

ツールのリタイア以降レースを走ってはおらず、そのコンディションは未知数。結局はうまくいかない可能性も十分にある。

それでも、なんとか手に入れたチャンスを、彼には掴んで欲しい。ただのアシストで終わる器ではないと思っている。

頑張れ、ウィルコ。

 

 

ニコラス・ロッシュ(アイルランド、35歳)

クライマー、178㎝、70㎏、出場日数:56日

Embed from Getty Images

かつてトリプルクラウン(ジロ、ツール、世界選手権の同年制覇)を果たした伝説的な選手ステファン・ロッシュの息子。彼自身もAG2Rやスカイ、BMCといったトップチームを遍歴し、近年はフルームやポートのアシストとして活躍してきた。今回も、第1の目標はケルデルマンのアシストである。21回のグランツール出場経験を活かしたチームのキャプテン役も務める。

とはいえ、彼にとってブエルタは相性の良いレース。過去には総合6位や5位、そして2回のステージ優勝を経験している。ケルデルマンのアシストが第1の目標ながらも、彼自身のチャンスもまた、狙って走ることになるだろう。

気がつけば彼ももうキャリア晩年というべき時期に差し掛かっているが、このままただ引退の時期を待つだけで終わるとは思えない。

 

 

マーティン・トゥスフェルト(オランダ、26歳)

クライマー、187㎝、70㎏、出場日数:22日

ラボバンク育成チーム出身で一時はサンウェブ(当時はジャイアント・アルペシン)のトレーニーだったが、プロデビュー自体はオランダのプロコンチネンタルチーム、ルームポットで果たしている。昨年からサンウェブに正式加入。

トレーニー時代にアブダビツアー(現UAEツアー)で総合8位。当時はまだ秋開催のHCクラスではあったが、ジャスパー・ハンセンやウィネル・アナコナと同タイムでのフィニッシュだった。

今回が2度目のグランツール。彼も3月のパリ~ニースの落車で長い離脱期間を経験している今シーズン、何か良い結果を手に入れて終わらせたい。フレッシュではあるはずなので・・・。

 

 

ロバート・パワー(オーストラリア、24歳)

パンチャー、184㎝、68㎏、出場日数:44日

ミッチェルトン・スコットからやってきたオーストラリア若手の有望株の1人。昨年のジャパンカップ覇者であり、ストラーデビアンケ6位など、パンチャー系の脚質を持つ。ジャック・ヘイグなどを生み出した、オーストラリアの若手育成プロジェクトの出身者でもある。

チームとしては次代の有力な山岳アシストとしての成長を期待している様子。ジロでは残念ながら途中リタイアとなってしまったが、今回のブエルタでどれだけ経験を積んでいけるか。

 

 

マイケル・ストーラー(オーストラリア、22歳)

クライマー、出場日数:49日

ミッチェルトン・スコットからやったきたオーストラリア若手の2人目。こっちは昨年からサンウェブ。

ミッチェルトン時代の2017年にオセアニア選手権ロードで2位。昨年はツアー・オブ・スロベニアで総合5位など。まだ成長中で、どんな脚質になるかも未知数な選手だ。

今回は昨年に続き2回目のブエルタとなる。

 

 

マックス・ヴァルシャイド(ドイツ、26歳)

スプリンター、199㎝、92㎏、出場日数:49日

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身長2mの重量級スプリンター。昨年はドイツ人スプリンターの登竜門ミュンスターラントジロで優勝。今年はスヘルデプライス2位など実力は間違いないがなかなか勝ちきれない。

今大会もガビリアやサム・ベネットなど強敵は沢山。まずは1勝。

 

 

ニキアス・アルント(ドイツ、28歳)

スプリンター、188㎝、77.5㎏、出場日数:50日

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アルゴス・シマノ時代からの叩き上げ。かつては彼もドイツ若手スプリンターの一角といった感じだったがあまりにも世代交代が早すぎて今ではアシストに回りつつある。ヴァルシャイドに比べれば軽量で、マシューズをしっかりリードアウトできるくらいには登りスプリントにも適性があるので、チャンスはないわけではないと思う。

ジロではニッツォーロの降格を受けて一度だけ「優勝」の経験がある。ただ、今度は1番手でゴールに飛び込みたい。

 

 

カスパー・ペダースン(デンマーク、23歳)

ルーラー、186㎝、出場日数:44日

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2年前のヨーロッパ選手権U23ロード王者。ヤコブセンやホッジ、ハルヴォルセンなどと同世代の選手ではあるが、アクアブルー・スポート入り。しかしこれが同年に解散が決まってしまい、最終的にサンウェブに辿り着いた。

今回の役割は平坦牽引。そしてゴール前のアルント→ヴァルシャイドに繋げる直前の牽引といったところが中心だろう。地味ながら重要な役割をしっかりとこなしていけるか、注目していきたい。

 

 

総評

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合計:20点

ケルデルマン、ヴァルシャイドで総合、スプリントを狙うとはいえ、それぞれ最強というわけではないし、下手をすればまったく結果を出せずに終わる可能性もある。

その意味でも、ロッシュや若手を中心に積極的な逃げを展開していきたい。このチーム、今年はデュムランの不調もあり現時点で6勝しかできていない。なんとか、まずは1勝をしっかりと稼ぎ出していきたいところ。

 

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