略号:ALM
国籍:フランス
GM:ヴァンサン・ラヴニュ
創設年:1992年
使用機材:エディ・メルクス
今年もバルデは不調。それに呼応するかのように、昨年ほどには彼をガチガチに守る体制を捨て、かつてのような逃げ、ステージ勝利を目指す戦略へと切り替わっているように感じる。シェレル、グジャール、コズネフロワらの起用はその象徴のように思われる。
実際、ジロではそれが結実し、ナンス・ピータースの勝利という大きな結果をチームにもたらしてくれた。
今年のAG2Rはステージ勝利で輝くか、それともバルデが復活してみせてくれるか。
- 31.ロマン・バルデ(フランス、29歳)
- 32.ミカエル・シュレル(フランス、33歳)
- 33.ブノワ・コズネフロワ(フランス、24歳)
- 34.マティアス・フランク(スイス、33歳)
- 35.トニー・ガロパン(フランス、31歳)
- 36.アレクシ・グジャール(フランス、26歳)
- 37.オリバー・ナーセン(ベルギー、29歳)
- 38.アレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、31歳)
- 総評
※身長、体重はProCyclingStatsを参照しております。
※年齢はすべて2019/12/31時点のものとなります。
※出場日数とは、ツール初日までに今期出場したレースの日数のことを表しています。
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31.ロマン・バルデ(フランス、29歳)
クライマー 184cm、65kg 出場日数:34日
かつて、2016年総合2位、2017年総合3位と輝いていたときは、フルームとキンタナに次ぐツール総合優勝筆頭候補と見られていた男だった。しかし、昨年から低迷。昨年はチーム体制はほぼ完璧だったがそのチームメートたちが次々とトラブルに見舞われ機能せず。そして今年は、そのチーム体制すら十分でなくなったように思う。
まずは、彼自身がしっかりと結果を出すことだ。目立てずに終わったクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ。その直後とはいえ、プロコンチネンタルチームやコンチネンタルチームたちを相手取り、トニー・ガロパンが決死の牽引を見せたにもかかわらず、勝てずに終わったモンヴァントゥ・チャレンジ。
今回の3週間で、かつての力を取り戻してくれることを期待する。彼の故郷や、彼のツール初勝利の舞台を通過する今回のツールで。
32.ミカエル・シュレル(フランス、33歳)
クライマー 185cm、65kg 出場日数:35日
2011年から現チームに。プロ生活13年目のベテランだ。ツール・ド・フランスには3年ぶりの出場。プロ勝利は一度もない。
彼は典型的な山岳アシスト・・・というよりは、かつてのAG2Rらしい、山岳逃げに積極的に動くアタッカータイプとみる。ここ数年、彼の出場が許されなかったツールは、バルデのための山岳アシストをガチガチに用意してくる戦略をチームが取っていたように思う。今回、彼の出場が認められたのは、そのあたりのチーム方針転換を象徴しているのではないかと感じている。
もちろん、バルデのアシストもお願いしたいとは思う。しかし、ときにアグレッシブに逃げに乗り、ステージ優勝に向けて動く彼の姿も見てみたい。ベテランの初の勝利がツール。そんなドラマはいつだって観るものを勇気付けてくれるのだから。
33.ブノワ・コズネフロワ(フランス、24歳)
パンチャー 176cm、64kg 出場日数:44日
2017年世界選手権U23ロード王者。昨年はパリ〜ツールにてニキ・テルプストラに一歩も引かない走りを見せて3位に食い込んだ。今年はパリ〜カマンベールとグランプリ・ド・プリュムレック=モルビアンにて優勝。後者は今年絶好調の(先日バルデを完全に打ち負かした)ヘスス・エラダを破っての勝利。
その実績を買われ、今回、ツール初出場。
アップダウンや未舗装路を難なくこなし、それなりのスプリント力も持ち合わせており、山岳エスケープも含め、活躍が期待できる選手。ルーラー的な脚質も持っているので、エースのための平坦アシストもこなしてくれるだろう。
34.マティアス・フランク(スイス、33歳)
クライマー 176cm、64kg 出場日数:39日
IAMサイクリング所属時代の2015年にはツール総合8位も経験している。IAM解散後はバルデのアシストとして活躍。かつての強さに衰えが見られたような時期もあったが、今年はまた目立ち始めるようになりつつある。ガロパンと共に、今年のバルデを守る上で重要な存在となるだろう。
ツール最強アシストとして輝くことで、再び注目される存在になれるか。
35.トニー・ガロパン(フランス、31歳)
オールラウンダー 180cm、70kg 出場日数:47日
基本はパンチャー。スプリント力もあり、アップダウンの激しいアルデンヌ風味のレイアウトを得意とする。しかし独走力もあり、また小さなステージレースであれば総合上位にも食い込める登坂力も合わせ持つ。直近のモン・ヴァントゥー・デニヴレ・チャレンジでは、終盤をバルデのために強力牽引。バルデ自身の調子は不安だが、山岳アシストとしてのガロパンには期待できる。ラトゥールもドモンもいない今回のツールにおいて彼の存在は重要だ。
もちろん、丘陵もしくは山岳でのエスケープにも期待したい。2014年にはそれによって革命記念日にマイヨ・ジョーヌを着て走るという栄誉に与った。
前待ちも十分できるタイプなので、終盤の山岳地帯でガンガン逃げて、自身とバルデのためのチャンスを共に生み出してほしい。
不安要素は今年既に50近い出場日数を重ねていること。体力が尽きることがなければよいのだが。
36.アレクシ・グジャール(フランス、26歳)
ルーラー 176cm、66kg 出場日数:45日
2015年のブエルタで衝撃的な逃げ切り勝利。以来注目を集め翌年のツールにも出場したが、続く結果はなかなか出せずにいた。
常に積極的に逃げに乗るアグレッシブエスケーパー。しかし、それが最後のラインまで到達することはほとんどなかった。かつて彼の勝利に刺激され同じような結果を出したいと意気込んでいたリリアン・カルメジャーヌはより大きな成果を出している。グジャールはこのまま消えてしまうのか?
いや、今年の彼は再び息を吹き返しつつある。4月のシルキュイ・シクリスト・サルテで逃げ切り勝利と総合優勝、6月のブークル・ド・ロルヌでも後続を1分以上突き放しての逃げ切り勝利を果たした。
そして今回、3年ぶりのツール出場を掴み取る。第1の役割は当然、エースのための平坦アシスト。しかしもちろん、チャンスがあれば彼は掴みに行くことだろう。2度目の栄光、もう1度その名前を轟かせるために。
37.オリバー・ナーセン(ベルギー、29歳)
ルーラー 184cm、71kg 出場日数:39日
チームの不動のクラシックエースにして、ツール・ド・フランスでは盤石の平坦アシストとして3年連続(IAM時代から数えると4年連続)の出場となる。
今年も北のクラシックでは何度も上位に入りつつ、勝ちきれないことが続いた。一方、最近は少し登り適性が増してきたようにも思える。たとえばパリ〜ニースの最終ステージ、エズ峠を越えてゴールに向かうステージでは逃げ集団に入っての2位。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでも総合も動いた第2ステージで、マグナス・コルトニールセンらと共にラスト500mまで逃げ続けていた。ミッチェルトン・スコットの強烈な牽引がなければ、逃げ切っていたことだろう。
今大会も平坦アシストだけでなく、逃げからの前待ちなどでも活躍できるかも。
北のクラシックの悔しさを晴らす活躍ができるか。
38.アレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、31歳)
クライマー 174cm、60kg 出場日数:41日
ツール・ド・フランスで「ブルターニュの壁」が用意された際の優勝者であり、「激坂ハンター」とした期待された。しかしフレーシュ・ワロンヌをはじめとするアルデンヌでは思ったほどの結果を出せず。逆に近年はクライマーとして、短めのステージレースでの総合上位を狙える存在になりつつあった。2017年ツール総合13位や、2018年パリ〜ニースの総合8位など。
昨年はバルデ、ラトゥール、ドモンらと共にツール直前の高地トレーニング(シエラネバダ)に臨み、バルデのための山岳アシストとして期待された。が、ツール本番ではドモンと共にトラブルに見舞われて途中リタイア。力を発揮できずに終わった。
今期もここまで目立った成績を出せずにおり、当初ツールのメンバー候補にも選ばれていなかったが、昨年新人賞のラトゥールが直前になって突然の欠場。国内選手権での不調が響いたか? 急遽ヴュイエルモがバルデを支える役回りに。
昨年の悔しさを払拭するような走りでエースを頂点に導くことができるか。
総評
エースのバルデは本来であれば総合優勝も狙える存在だが、めっきり調子落とし中。アシストは昨年までの体制をがらっと変えてガロパン、フランクが主軸に。これが功を奏せるか。
代わりに平坦アシストともいうべき存在は増え、そこは安心。かといってチームTTで有利になるというほどではないので、どこまで成果をもたらせるか。
かつてのAG2R、あるいは今年のジロのように、エースを守るだけでなく積極的に逃げに乗りステージ優勝を目指すスタイルが実を結ぶかもしれない。
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