りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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シュヘルデプライス2019 プレビュー

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Class:ヨーロッパツアーHCクラス

Country:オランダ〜ベルギー

Region:ゼーラント州〜アントウェルペン州

Organiser:フランダース・クラシックス

First edition:1907年

Editions:107回

Date:4/10(水)

 

伝統的にロンドとルーベに挟まれた水曜日に開催されている、フランドル地方最古のクラシック。3年前まではアントウェルペンでスタートし、同州のスコーテンにゴールするアントウェルペン内でのレースであったが、昨年から大きくコースを変更した。

石畳区間と、新たなコースレイアウトで加えられた強い横風といった要素を含みつつ、基本は集団スプリントで決着するスプリンターズクラシック。

今、最も勢いのあるスプリンターは誰だ?

 

 

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コースについて

かつてはベルギーのアントウェルペン州の中だけで完結していたレースが、昨年から大幅に変化。オランダ・ゼーラント州をスタートし、北海沿いの横風区間を経てベルギーに入り、いつものスコーテンにゴールするレイアウトとなった。

スタート地点は昨年のテルネーゼンの対岸に位置する街エレワウトスデイク。ゴール地点スコーテンの周辺には石畳区間も設けられ、横風と石畳がプロトンを苦しめる。

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ゴール前27km地点と10km地点から始まる1.7kmの平坦石畳「ブロークストラート」。 

 

昨年は予想通りの横風によるエシェロン形成が見られ、落車も含めて集団は大きく分断された。

この事態にもう1つのアクシデントが組み合わさり、重大事件が発生してしまう。

 

すなわち、踏切強行突破事件である。

 

5名の逃げ集団が踏切を通過した後に鉄道の踏切が下がり始め、そこに近づいた第2集団が無理やり通過してしまう。少し遅れた第3集団は止まったが、しばらくして後に、この第2集団にいた35名が失格となった。

その中にはアルノー・デマールやディラン・フルーネウェーヘン、アルバロホセ・ホッジといった優勝候補たちも含まれていた。

 

結局、少し遅れた第3集団がチャンスを掴むことに。この中には、過去5回優勝しているマルセル・キッテルの姿もあった。

しかしこのキッテルにも不運が襲いかかる。残り13㎞地点でパンク。チームメートの力を借りながら復帰を試みるが、前半の横風区間でも苦しめられ蓄積されていた疲労がやがて彼の足を止めてしまう。

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混沌の雨のスプリントで勝ったのは、すでにノケレ・コールス勝利などで活躍を見せていたネオプロのファビオ・ヤコブセン。

これに続いたのはパスカル・アッカーマン、クリストファー・ローレスなどで、台頭しつつある若手有力スプリンターたちの祭典となった。

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今年もまた、ベテランだけでなく、若手スプリンターたちの活躍が期待できる。

以下、注目すべき選手たちを簡単に確認していこう。

 

 

注目選手たち

1.ファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)

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昨年優勝者。元SEGレーシングアカデミーで、ネオプロだった昨年はワールドツアー3勝含む計7勝。今年もヴォルタ・アン・アルガルヴェ第1ステージで、デマールやアッカーマンを正面から打ち破っての勝利。

パリ〜ニースでも横風を潜り抜けての3位が2回。風も登りもこなせるオランダ人らしいタフさは、この新シュヘルデプライスに最も向いている性質であるといえる。

その強さの大部分を担うのがチーム力。ケイセやデクレルクなどフランドル最強のルーラーに守られ、最強リードアウターのモルコフも連れてきている。

あとはホッジとどちらが最後にエースとなるか。

 

21.パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ)

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昨年2位。昨年も強かったが、今年の勢いは昨年以上にも感じる。

ノケレ・クールスではさすがの登りに失速した様子が見られたが、万全の体制で放たれた時のパワーは他の追随を許さない。それだけに、その体制を作るためのチーム力が重要になる。

そのチームはボドナール、ブルグハートのルーラー陣に、シュヴァルツマン、そしてヘント〜ウェヴェルヘムでは遅れては戻ってきて最後のスプリントでも8位に入るという意外なタフネスさを発揮したゼーリッヒといった強力な発射台の存在も。

形を組めれば最強だ。

 

51.マルセル・キッテル(カチューシャ・アルペシン)

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今大会通算5勝のまさにキング・オブ・シュヘルデプライス。

そんな彼が昨年から現在に至るまでに常に不調の只中にいる。シーズン冒頭のマヨルカチャレンジで1勝したときは良い滑り出しだと思ったのだけれど・・・。

ロンド・ファン・フラーンデレンでも終盤で繰り返し攻撃を仕掛けていたフランドルのタフガイ、ニルス・ポリッツや、昨年4位のデビュッシェール、そして本来発射台としては高い才能に恵まれているはずのリック・ツァベル。

良いメンバーは揃っている。あとは、キッテルのテンション次第。すぐ諦めてしまいがちなのはやや不安。せめて上位に。

 

61.クリストファー・ハルヴォルセン(チーム・スカイ)

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エースナンバーを着けるのは昨年3位のクリス・ローレス・・・ではなく、こっち。確かに今季ここまでの成績は彼の方が上。

年初のヘラルドサン・ツアーで1勝。フランドルでもコクサイデ・クラシックでホッジを下して2位につけるなど、好調を維持している。UAEツアーでは3位が2回、ドリダーフス・ブルージュ・デパンヌでも6位だ。

期待されてスカイ入りした昨年は1勝もできず。同じネオプロのホッジやヤコブセンに大きく差をつけられた。しかし今年は「スカイ2年目のジンクス」。今回もまずは表彰台を確実にモノにしたい。

もちろん、燻っているローレスにも期待。

 

91.ジャスパー・フィリプセン(UAEチーム・エミレーツ)

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年初のツアー・ダウンアンダーでユアン降格によりいきなりのワールドツアー初勝利。その後もノケレ・コールス3位など、強豪スプリンター揃いのUAEの中でもしっかりと存在感を示している。元ハーゲンスバーマン・アクセオンの暴れ馬。

チームメートには、ブエルタ・ア・サンフアンでもガビリアの2勝を支えた「ベテラン・フェラーリ→若手コンソンニ」の黄金発射台コンビ。ただ、コンソンニもガビリアならばともかく新人のフィリプセンに簡単にエースの座を明け渡すつもりもなさそうな気がするが、果たして。

 

 

その他の注目選手

71.マックス・ヴァルシャイド(チーム・サンウェブ) 昨年6位 

101.ユーゴ・オフステテール(コフィディス・ソルシオンクレディ)

121.ニッコロ・ボニファツィオ(ディレクトエネルジー)

171.アンドレ・グライペル(アルケア・サムシック)

201.ティモシー・デュポン(ワンティ・グループゴベール) 昨年7位

 

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