りんぐすらいど

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ロンド・ファン・フラーンデレン2019 コースプレビュー

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Class:ワールドツアー

Country:ベルギー

Region:フランデレン地域

Organiser:フランダース・クラシックス

First edition:1913年

Editions:103回

Date:4/7(日)

 

いよいよ開幕する、「クラシックの王様」ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)。

全長270.1㎞。17つもの急坂と5つの未舗装路区間。最後の55㎞は絶え間なく石畳の登りが連続する。

 

今年も最強のクラシックハンターたちが勢揃い。テルプストラ、ジルベール、サガン、ファンアーフェルマート、そしてシクロクロス勢からはファンアールトに、今年初出場のマチュー・ファンデルポール!

 

今年、「王」として君臨するのは果たして誰か。

今回はその事前情報として、まずは「残り100㎞」の注目すべきポイントを紹介していく。

 

↓10名の注目選手についてはこちら↓

www.ringsride.work

↓女子レースについてはこちらでプレビュウ↓

www.ringsride.work

 

 

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残り99.5㎞「カペルミュール」

全長1,075m / 平均勾配9.2% / 最大勾配19.8%

かつては勝負所の激坂として知られた伝説の石畳急坂。正式な名前は「ミュール・ド・ヘラーツベルヘン」。登りの頂上には教会が建てられており、そこからこの名前が取られている。

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2017年に5年ぶりに復活したこの伝説の登りは、残り100㎞というゴールから遠く離れた位置に設定された。それがゆえに、勝負には大きく関わることはないだろうーーそんな風に思われた。

しかし2017年はこの登りでトム・ボーネンがアタックを仕掛け、形成された13名の小集団の中にクイックステップが3名。そしてサガン、ファンアーフェルマートがここに加われず。

こうして出来上がった集団の中から優勝者ジルベールが抜け出したという意味で、この登りは十分に勝負を動かしたと言えそうだ。

 

今年もきっとここで、最初の本格的な攻撃が繰り広げられることだろう。

 

 

残り56㎞「2回目オウデクワレモント」

全長2,200m / 平均勾配4.0% / 最大勾配11.6%

全部で3回登ることになる大会を象徴する「クワレモント旧道」。

勾配は決して厳しくはないが荒れた石畳の登りがひたすら延々と続き、本当の実力者だけがじりじりと前へ進むことのできるセクションとなる。

この時点ではまだ2回目で、ゴールまでも距離があるため、基本的にはそこまで決定的な動きは作られないのだが、2017年にはまさにここでジルベールの独走が始まった。決して油断はできない。

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残り26.8㎞「クルイスベルグ」

全長2,500m / 平均勾配5.0% / 最大勾配9.0%

大会最長の石畳激坂は、ゴールまで残り30㎞という絶妙な位置にあることもあって、これまでも数多くの決定的な動きを作ってきた。

昨年もまさにそうだった。この10㎞手前に位置する「ターインベルグ」で30名ほどに絞り込まれたメイン集団の中で、クイックステップはジルベール、スティバル、ランパールト、そしてテルプストラと最も多くの選手を残していた。しかもその全員が、エース級だったのだ。

まず動いたのはスティバルだった。今年も数々のレースで「先鋒」としての役割を果たし、その結果勝利も得ている男だ。この年も彼がきっかけを作った。

スティバルの攻撃に対してサガン、クウィアトコウスキー、ニバリが反応。後続が追いついたところでニバリがカウンターアタック。これについていったのがテルプストラだった。

 

クイックステップの全ての攻撃に逐次反応するわけにはいかない。とくに前年覇者ジルベールや、直前のドワーズ・ドール覇者ランパールトの動きは認められない。しかしE3でも独走勝利していたテルプストラもまた、逃してはいけない選手だった。結局は、クイックステップのカードの枚数が多すぎて、ライバルチームはどうしようもなかったのだ。

ニバリとともに抜け出したテルプストラは、そのまますぐに彼を突き放し、そして勝利へと至る独走を開始した。

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ちなみにこのクルイスベルグは、2015年にもテルプストラがアタックして抜け出している。

しかしそのときはアレクサンドル・クリストフが食らいついてきていて、最後はスプリントで敗れてしまった悔しい思い出。

テルプストラは昨年、このクルイスベルグで見事リベンジを果たしたことになる。

 

今年もこのクルイスベルグが見逃せない展開を生みそうだ。

 

なお、2016年はサガンがファンマルク、クウィアトコウスキとともにこのクルイスベルグの手前の舗装路で抜け出してカンチェラーラを置き去りにしている。

結局このときの動きが最後のサガン独走の伏線となっているため、残り30㎞からは急坂でないところでも常に警戒する必要がありそうだ。

 

 

残り16.9㎞「3回目オウデクワレモント」

全長2,200m / 平均勾配4.0% / 最大勾配11.6%

残り13.5㎞「2回目パテルベルグ」

全長360m / 平均勾配12.9% / 最大勾配20.3%

いよいよクライマックス。ゴール前に用意された2つの登りの連続。

オウデクワレモントは長く荒れた石畳、パテルベルグは短い代わりに、前輪が浮いてしまいそうになるくらいに強烈な激坂となっている。

 

この連続登坂に至るまでに決定的な動きが巻き起こっていることも多いが、この2つの登りはそこに決着をつけるスパイスとなる。

3年前、クルイスベルグ手前でサガンたちに置いていかれたカンチェラーラは、この3周目オウデクワレモントで一気にアクセルを踏み込んで、クウィアトコウスキをまずは飲み込んだ。

残ったサガンとファンマルクにスパルタクスが迫るも、最後のパテルベルグで、ファンマルクを突き放す圧倒的な登坂力でサガンが激坂を攻略し、カンチェラーラは単独で抜け出してファンマルクを捉えるが、サガンだけは捕まえきれずに終わってしまった。

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世界王者ペテル・サガンが勝負を決めた坂、ということで自分は密かにこの坂を「ペテルベルグ」と呼んでいる。

涙すら流したあの激戦をもう一度。

今年もこの3周目オウデクワレモントと2周目パテルベルグが勝負所になってくれることを願っている。

 

 

2周目パテルベルグの短い登りを終えたのちは、13㎞の平坦がゴールのオーデナールデの街まで続く。

ここ数年はひたすら独走で「王の凱旋」を迎え続けてきたラストの13㎞もまた、このロンドには欠かせない要素である。

 

本当の実力者だけが先頭でフィニッシュすることを許される「クラシックの王様」。

今年は一体誰がこのゲートで栄光を掴めるのか。

次回は注目選手たちをプレビュー予定。

 

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