りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2019シーズン 1月主要レース振り返り

今年もやっていきます、「主要レース振り返り」。

原則としてHCクラス以上のレースは全て振り返っていきたいと考えています。ただし1月はレース数が少ないので1クラスや非公式レースも含めて紹介。

 

ぜひ昨年の同時期の振り返りと見比べても見てください。

www.ringsride.work

  

(記事中の年齢は全て、2019/12/31時点のものとなります) 

 

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ブラックバーン・ベイ・クリテリウム

非UCIレース 開催国:オーストラリア 開催期間:1/1~1/3

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オーストラリアを舞台に新年恒例で開催される非UCIクリテリウムレース。3日間行われ、総合成績での表彰もある。

例年、カレブ・ユアンも活躍しているレースで、今年は新チームでの活躍の如何に注目が集まった。

 

初日はいきなり5名の逃げ切りが成立。大本命のユアン率いるロット・スーダルがトラブルで遅れたことが、追走を弱らせる要因となったようだ。

その5名の逃げ集団の中から抜け出して勝利を掴んだのが、カチューシャ・アルペシンのマルコ・ハラー

マルセル・キッテルの信頼する発射台でありながら、昨年は怪我により戦線離脱を余儀なくされていた彼が、復活の勝利。チームとしても、非公式とはいえ、散々だった2018年シーズンを払拭するかのような幸先の良い勝利を挙げることができた。

一方、新チームで迎えたユアンも、第2・第3ステージで勝利。第2ステージは、ユアンがミッチェルトンから連れてきたロジャー・クルーゲが、レース中盤のプロトン崩壊を引き起こす強力な牽引と、最後のユアンの発射台にと、大車輪の活躍。

ただの勝利ではなく、クルーゲがやはり最高のアシストであることを証明する理想的な勝利であった。

 

最終的には初日の逃げ切り勝利でタイムを稼いでいたハラーがそのまま総合優勝。

カチューシャとユアンという、2つの「2018年悔しかった組」が雪辱を晴らす清々しいシーズン開幕戦となった。

 

 

ニュージーランド選手権 男子エリート個人タイムトライアル

国内選手権 開催国:ニュージーランド 開催日:1/4

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さすがにプロコンチネンタルチームですらない選手も多く、あまり語ることはないが、1点だけ。

元BMCレーシングチーム所属、名前が変わってCCCチームとなったこのチームに今年も残留した12名のうちの1人、パトリック・ベヴィンが、個人タイムトライアルで2度目の優勝を掴み取った。

国内選手権の成績も通常チームの勝利数に数えるため、今年20勝が目標と控えめに言っていたCCCチームが、どこのワールドツアーチームよりも早い公式勝利を挙げることに。

ベイクリテのカチューシャ、ユアンと並び、幸先の良いスタートとなった。

 

 

オーストラリア選手権 男子エリートロードレース

国内選手権 開催国:オーストラリア 開催日:1/6

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大本命ミッチェルトン・スコットや若手オージー期待の星ハーパーを差し置いて、元ベネロング・スイスウェルネスのフライバーグがまさかの勝利。

実際、ラストはほぼマイヤーとハーパーの一騎打ちのはずだった。登りではフライバーグが苦しむ姿を見せてもいた。

だが残り1.7kmで早すぎる牽制合戦を始めてしまうマイヤーとハーパー。結果、ゴールまでの下りを利用して追いついてきたフライバーグが、得意のスプリントで2人を突き放して勝利。

ゴール後に実に悔しそうなコメントを残していたマイヤー。オーストラリア選手権のコースはアップダウンの多い厳しいレイアウトだったことが、彼らの足を大きく削り、消極的な走りを生んでしまったのかもしれない。そんなコースでしっかりと喰らいつけていけたフライバーグが強かったのは間違いないとして。

www.greenedgecycling.com

 

 

オーストラリア選手権 男子エリート個人タイムトライアル

国内選手権 開催国:オーストラリア 開催日:1/8

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世界王者であり、これまで豪州選手権を3連覇してきていたローハン・デニスが、まさかの敗北。

正直デニスに勝てるとは思ってなくてあくまでもクラシックのためのトレーニングが中心だったというダーブリッジが6年ぶり3度目の王者に。これでミッチェルトンは2日前のロードレースでの悔しい敗北の借りを返した形に。

デニスは「昨年勝ったときと比べて足の調子は悪くなかったのに、なぜ良いタイムが出なかったのか、よく考える必要がある」と意味深なコメント。チームが変わるとこういう問題は出やすいとは言うが・・・。

 

 

サントス・ツアー・ダウンアンダー(2.WT)

ワールドツアー 開催国:オーストラリア 開催日:1/15~1/20

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定番のシーズン開幕戦。

今年も名スプリンター、パンチャー、クライマーたちが集い、力を尽くした。

↓各ステージの詳細レビューはこちら↓

www.ringsride.work

結果として総合優勝を果たしたのは昨年に続きダリル・インピー。この大会で4度の総合優勝を飾っているサイモン・ゲランスの右腕として働いていた時期も長く、脚質も似たものをもっていた彼であれば不思議ではない。それでも、大会史上初となる2連覇は凄い。

Embed from Getty Images

 

そしてそんなインピーの総合優勝を支えるうえで重要な役割を果たしたのが、プロ2年目の若き才能ルーカス・ハミルトンである。

www.ringsride.work

 

もちろん、忘れてはいけないもう1人の主人公がパトリック・ベヴィン。 

あの落車さえなければ、総合優勝の可能性も十分にあったと言えるだろう。少なくとも、インピーとの秒差を巡る熾烈な争いを演出してくれたことは確かだと思う。

残念ではあったが、大事なのはここからどれだけ這い上がってこれるか、だ。怪我の影響から早く脱して、次なる戦いに備えてほしい。

たとえば3月のティレーノ~アドリアティコは、十分に好成績を残せる余地のあるレースだ。彼の覚醒の続きを楽しみにしていよう。

Embed from Getty Images

 

 

ラ・トロピカーレ・アミッサ・ボンゴ(2.1)

アフリカツアー 1クラス 開催国:ガボン 開催日:1/15~1/20

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中央アフリカの西海岸に位置するガボンで開催される、シーズン序盤のステージレース。毎年、ワールドツアーチームの出場はないものの、フランス語圏だからか、フランスのプロコンチネンタルチームは結構出場している。

今年はそんなフランス籍プロコンチネンタルチームの1つ、アルケア・サムシック(旧フォルテュネオ・サムシック)に移籍したアンドレ・グライペルの活躍に期待していたのだが、蓋を開けてみれば最も強かったのは同じくワールドツアーから降格したニッコロ・ボニファツィオ。

彼もバーレーン・メリダ発足時はコルブレッリ以上に期待していた選手だったのが、まさかの全く活躍しないままチームを離れることになっていたので、彼がここで活躍してくれたのは嬉しい。チームとしても、いなくなってしまったコカールの代わりとして非常に頼れる存在なのは間違いないだろう。 

それでも、グライペルが全く彼らに歯が立たなかったのは残念で仕方ない。一応、かろうじて1勝のみはしたけれども、サンフアンで全く活躍できていないカヴェンディッシュ同様、もう年には敵わないというのだろうか・・・

 

もう1人活躍したのが、総合2位にもなったロレンツォ・マンザン。彼も2年前までワールドツアーのFDJに所属していた選手で、最終年のブエルタ・ア・エスパーニャのマドリードステージで、2位に入り込む力を見せつけていたのが印象的だった。

フランス籍ではあるものの、マダガスカルの東方に浮かぶレユニオン島出身の選手であり、おそらくはクレオール。そんな彼にとってアフリカでの勝利というのは、格別な思いを感じるものと言えるかもしれない。 

 

 

カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース(1.WT)

ワールドツアー 開催国:オーストラリア 開催日:1/27

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すっかりシーズン序盤のワールドツアーレースとして定着した感のあるワンデーレース。選手たちも慣れてきて、次第にスプリントになるか逃げ切りになるかギリギリの争いが作られるレイアウトの妙を感じられるようになってきた。

今年もまた、最終周回のチャランブラ・クレセントでのクライマーたちの攻撃が戦いの火蓋を切った。YouTube版サイバナで言及されていたように、ケニャックの不在やユンボ・ヴィスマがダニー・ファンポッペルを連れてきたことによりチャランブラ・クレセントでの攻撃は昨年ほどには激しくならず、最後の最後で飛び出したウリッシに対しても、ドゥクーニンク・クイックステップのドリース・デヴェナインスがしっかりと抑え込む動きを見せた。

www.ringsride.work

その後も頻発するアタック全てにデヴェナインスのチェックが入り抜け出しを許さない。最後は集団スプリントに持ち込まれるが、そこでもミケル・モルコフの非常に長いリードアウトによってインピーもユアンも手を出す隙を与えられなかった。

まさにクイックステップのチーム力による勝利。

昨年の悔しい2位を挽回する勝利となった。

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↓次月のレース振り返りはこちら↓

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