りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2019シーズン 2月主要レース振り返り

南半球だけでなく、いよいよヨーロッパでも本格的にシーズンが開始されてくる2月。

各トップレーサーの今年の仕上がりを見ていくうえでも重要な時期である。

 

今月も各主要レースを簡単に振り返っていこう。

 

↓昨年同時期の振り返りも参考に↓

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ブエルタ・ア・サンフアン(2.1)

アメリカツアー 1クラス 開催国:アルゼンチン 開催日:1/27~2/3

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↓詳細はこちら↓

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ツアー・ダウンアンダーと並ぶ、シーズン開幕を告げる南半球のレース。パンチャー向きのダウンアンダーと比べ、こちらはクライマーやオールラウンダー向け。過去には(サンルイス時代も含めると)キンタナやニバリが総合優勝を果たしている。

今年も数多くの有力選手が出場。とくにスプリンターは豪華で、毎年出場のフェルナンド・ガビリアのほか、サンフアンでは初出場のサガンやカヴェンディッシュも。その中でガビリアは5年連続となる南米レース開幕ステージ勝利を飾ると共に、新チームのトレインとの相性の良さをばっちりと見せ、移籍によって彼の力が失われるかもしれないという我々に不安を一気に吹き飛ばしてくれた。

また、パンチャー向けの第2ステージと個人TTは下馬評通りにジュリアン・アラフィリップが勝利。このまま総合優勝まで掴み取ってしまうだろうと、このときは多くの人が思っていたに違いない。

しかし、クイーンステージとなったアルト・コロラド山頂フィニッシュの第5ステージ。ここでこのレースに最強山岳アシストたちを揃えてきたモビスター・チームが、チームの力を活かして反撃に出た。詳細は上記のリンクを確認してほしいが、ナイロ・キンタナが自身の右腕たる存在であったアナコナのために完璧なアシストを演じる姿は、シーズン序盤から良いものを見させてもらったという思いで一杯である。

だが、このときもう1人驚くべき走りを見せたのがわずか19歳、今大会がプロ初レースとなっていたレムコ・エヴェネプールである。アルト・コロラドで他のアシストを全て失ったアラフィリップのために全力の牽引を見せた彼の走りは、昨年のベルナルに対するもの以上の驚きをもって迎えられた。

今年もまた、恐るべき男が現れた。

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ヘラルドサン・ツアー(2.1)

オセアニアツアー 1クラス 開催国:オーストラリア 開催日:1/30~2/3 

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ダウンアンダー、カデルレースと続いてきたオーストラリアでのレース群の最終幕を飾るステージレース。小さいながらも歴史は古く、近年はクリス・フルームやエステバン・チャベスなど、グランツールで活躍する選手たちがシーズン開幕戦として選び、総合優勝まで手に入れるパターンも多い。

今年はリッチー・ポートが初出場と言うことで注目を集めた。第2ステージはゴール前11.5kmに登坂距離3.8km、平均勾配9.4%の厳しい登りが設定され、しかもその登りのラスト1.1kmがグラベルロード(未舗装路)という実に魅力的なコースであり、激しい攻防戦が繰り広げられた。結果、ポートと共に山頂を先頭通過できたのはマイケル・ウッズのみであり、スプリント力で勝るウッズがこの日の勝利と総合首位の座を獲得した。

このままウッズが総合優勝を飾るのか、と予想されていた中で、大逆転劇が演じられたのが第4ステージ。チーム・スカイが先頭にルーク・ロウ、クリスティアン・クネース、ディラン・ファンバーレの3名を逃がすという大胆な戦略を決行。本来この危険な逃げを抑える役割を担うべきEFエデュケーション・ファーストは機能せず、最後は追い付くことを諦めて勝負が決まってしまった。

サンフアンに続くまさかの大逆転劇。いずれもモビスターとスカイという、グランツール常勝チームの底力を見せた瞬間であった。

そして、こちらで注目すべき選手は、新人賞を獲得したパヴェル・シヴァコフ。昨年ベルナルと共に注目の若手としてスカイ入りしたものの、そこまで目立った成果を出せなかった彼が、カデルレース終盤のアタックに続き、今大会も第2ステージの登りで積極的な攻撃を繰り出すなど実力を見せ始めている。

今年こそ大ブレイクするか。ロシアの期待の若手として、今後も彼に注目していこう。

 

 

チャレンジ・ブエルタ・ア・マリョルカ(1.1×4)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:スペイン 開催日:1/31~2/3

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スペイン、バレンシア州にも程近い地中海に浮かぶ島マヨルカ。その温暖な気候から冬季のキャンプ地に選ぶトップチームも数多く、そんな彼らのシーズン最初の調整レースとして人気を集めるのがこの「チャレンジ・マヨルカ」である。

4日間にわたって開催されるが、ステージレースではなく4つのワンデーレースが連続して行なわれるという形式。だから毎レース出場選手を入れ替えることもできるし、前レースでリタイアしても次のレースにも出られるなど、調整レースとしては最適なルール設定にもなっている。

初日の「トロフェオ・セスサリネス~ファラニチュ」は、2級山岳サンサルバドル峠(登坂距離4.7km、平均勾配7%)の山頂フィニッシュ。ファビオ・アルやアレハンドロ・バルベルデなどのトップクライマーたちも参戦する中、先頭でフィニッシュしたのはヘスス・エラダ。昨年からコフィディス入りした元モビスターのクライマーで、昨年はブエルタで一時マイヨ・ロホを着用するなど、チームに貢献していた。今年も幸先の良い1勝をチームにもたらした。

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2日目「トロフェオ・アンドラッチ~リュセタ」は2つの3級山岳と標高900mを超える1級山岳プイグマヨール(登坂距離14.4km、平均勾配6%)を含んだ獲得標高3400mの本格山岳ステージ。

1級山岳の下りで抜け出して独走を開始したのがブッフマン。前日優勝のヘスス・エラダや山岳逃げスペシャリストのティム・ウェレンスらが追いかけるも捕まえることはできず、そのままブッフマンが実に4年ぶりとなる勝利を掴んだ。

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プロコンチネンタルチーム時代からのボーラメンバーで、2年前にはクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで新人賞も獲得したドイツの若手オールラウンダー。昨年のブエルタではフォルモロ、マイカといった有力オールラウンダーと共に走ってチーム最高位の総合12位となるなど、今後もチームの総合エースとしての走りが期待される存在である。 

 

3日目「トロフェオ・セッラデトラムンタナ」は毎年恒例の山岳ステージ。この日も総獲得標高3400m。

このステージを大得意としており、直近の過去2年も制しているティム・ウェレンスが、今年3年連続の勝利を得る。前日覇者ブッフマンを振り切った。

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そして迎えた最終日。

これもまた毎年恒例の平坦ステージ、「トロフェオ・プラヤデパルマ~パルマ」。 

ザッカリンすら平坦牽引に加わるチーム一丸となってのアシストを受け、チームのエース、マルセル・キッテルが11か月ぶりの勝利を手に入れる。

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今年チームのパフォーマンスマネージャーとして招き入れられた伝説のスプリンター、エリック・ツァベルのサポートも受け、今期の復活を誓うキッテル。

この勝利が、その大きなきっかけとなればよいのだが。

 

 

ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ(2.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:スペイン 開催日:2/6~2/10

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↓詳細はこちら↓

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チャレンジ・マヨルカの舞台であるマヨルカ島の対岸に位置するバレンシアナ州で行われるヨーロッパ最初のステージレース。バレンシア地方の山岳地帯を主に使用し、2つあるスプリントステージも山岳含みで一筋縄ではいかない構成だ。

初日のTTも激坂登りフィニッシュという特殊なレイアウト。距離の短さも相まって上位勢にはパンチャー勢が含まれ、その中でもノルウェー個人TT王者のもあるボアッソンハーゲンが、その国内選手権以来の勝利を手に入れた。

そしてこの日ヨン・イサギレが2位につけることができたことが、ボーナスタイムの存在しないこのバレンシアナにて、最後まで総合首位を守り切る大きな要因となった。

もちろん、それを守り切るうえで重要になったのが第4ステージ。昨年覇者バルベルデと、昨年同じく激坂ステージでバルベルデに敗北してしまったアダム・イェーツとの一騎打ちは、今年はアダムがなんとか勝利。

そしてこの日のこの激坂で、最後まで粘り切ったのがヨンだった。同じく好成績のビルバオとともに、アダム・バルベルデから2秒遅れでゴールに飛び込んだ彼は、新チームでの好調ぶりをしっかりとアピールしてみせた。

 

そしてもう1人の注目株、フルーネウェーヘン。

最初のスプリントステージとなった第2ステージは、登りを利用したアスタナとミッチェルトン・スコットの猛プッシュを前にして敗れ去った彼が、最終ステージはきっちりと実力を見せつけて勝利。

今年も「最強」であることを高らかに宣言した。 

 

 

エトワール・ドゥ・ベセージュ(2.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:フランス 開催日:2/7~2/10

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南仏オクシタニー地域圏で開催される、ヨーロッパ・ステージレースの開幕戦。

シーズン序盤ということもありスプリンター向きのステージレースではあり、今年も過去7勝しているコカールが幸先の良い勝利を収める。

とはいえ、全4~5日間の中には個人TTも含まれ、スプリンターがどんなに勝利を重ねても、この個人TTによって総合優勝は奪われてしまうことも多い。昨年はトニー・ギャロパンがその栄誉に預かったし、過去にもボブ・ユンゲルスなどが総合優勝を果たしている。

よって、コカール、そして今年も好調のスタートを切ったラポルト、そして昨年も2勝しているサローも、総合優勝を得るのは難しいだろう、と思われていた。

が、なんと最終日の個人TT、しかも終盤に登りを含んだこのTTで、TTスペシャリストのトビアス・ルドヴィクソンすら打ち破って、ラポルトがまさかのステージ優勝。そのまま総合優勝も勝ち取った。

昨年もベルギー・ツアーの個人TTで優勝していたりするラポルト。

パリ~ニースでは激坂に強いところも見せていたりと、とにかく多才なこの男は、今年もツール・ド・フランスのエースを射止めることはできるか。

 

 

ツアー・コロンビア(2.1)

アメリカツアー 1クラス 開催国:コロンビア 開催日:2/12~2/17

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昨年は「コロンビア・オロ・イ・パ」の名前で開催されていた、コロンビアのステージレース。名前は変わったが今年で2回目という位置づけ。

昨年同様コロンビア籍の名選手が一堂に集い、およそ1クラスとは思えない豪華さ。

エガン・ベルナル、イバン・ソーサ、ナイロ・キンタナ、リゴベルト・ウラン、ミゲルアンヘル・ロペス、フェルナンド・ガビリア・・・元々は昨年暮れにもコロンビアのイベントに参加していたクリス・フルームも出場予定だったが、直前に急遽取りやめとなった。

そして今年もコロンビア祭りだった。初日のTTTでは今年になってTT改善が図られつつあるというEFエデュケーション・ファーストが勝利し、早速ウランがリーダージャージを着用。昨年大暴れしたガビリアは早期にリタイアしてしまったものの、同じコロンビア人スプリンターの星でるホッジとモラノがそれぞれ1勝ずつ。昨年も「オロ・イ・パ」でステージ勝利を挙げているアラフィリップが今年はユンゲルスと共に勝利し、クイックステップも勝利数稼ぎに余念がない。

そして何より、最終ステージが激熱だった。ベルナル、ソーサ、キンタナ、ロペスといった現代コロンビア総合ライダー界の頂点と未来の頂点とがバチバチの差し合い。途中キンタナとソーサが観客と接触して落車するという展開もあったものの、ベルナルが1年後輩のソーサをアシストする動きを見せて引き上げ、先頭でソーサとロペスとが牽制している間に総合成績を失っていたキンタナが一気に抜け出して勝利を奪うという展開。

1クラスなのに、コロンビア人しかいないのに、これだけレベルの高い応酬を見せられると、コロンビアという国のレベルの高さが否が応にでも認識させられてしまう。

この日の走り、とくにベルナルの動きについては以下の動画も参照のこと。

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また、日本の中根英登選手が第4ステージのスプリントで5位に入るという快挙を成し遂げたレースでもある。

残念ながら翌日に落車に巻き込まれてリタイアしてしまったものの、現在、日本の別府・新城の次の位置に間違いなくいる選手だけに、今後の更なる活躍に期待したい。

 

 

ブエルタ・ア・ムルシア(2.1)

ヨーロッパツアー 1クラス 開催国:スペイン 開催日:2/15~2/16

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バレンシア地方からさらに南下、アンダルシア地方に近い南スペインのムルシア州にて開催。

昨年まではワンデーレースだったが、今年は2日間のミニ・ステージレースに。しかし山がちのクライマー向けレースであることに変化はなし。

バレンシアナでの好調を引きずる形で、ここでもアスタナがその強さを発揮した。初日はメイン集団から抜け出した9名の先頭集団のうち、アスタナが3名を揃えており、しかも結果として、ビルバオ、サンチェス、フライレの3名がワンツースリーすべて奪い取る結果となる。

しかし、この日4位となった前年覇者・地元出身のアレハンドロ・バルベルデはやはり強かった。第2ステージのゴール前12.5km地点にある2級山岳(登坂距離4.4km、平均勾配6.5%)で猛プッシュをかけたバルベルデは、ライバルたちを一気に振るい落とす。

前日3位でボーナスタイム4秒を得ているサンチェスだけが、なんとかこれに喰らいつく。しかしスプリント力の高いバルベルデを相手にするにはやや分が悪い。

しかも、登りの途中でついにサンチェスも千切られる。登りの頂上では、10秒近いタイム差がバルベルデとサンチェスとの間に生まれてしまった。

 

しかし、そこからが「下りスペシャリスト」サンチェスの本領発揮である。

ゴールまで10kmの下りと平坦を利用してサンチェスはそのタイムギャップを完全に埋める。

さらにはラストのスパートでバルベルデを突き放し、そのまま単独でゴール。

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サンチェスにとっても地元となるこのムルシアで、昨年の雪辱を晴らす結果となった。

2位となったバルベルデも拍手でこれを祝福。

本当、仲の良い2人である。

(昨年もバレンシアナでのバルベルデの圧倒的勝利に負けた背後のサンチェスが笑顔で応えていた)

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トロフェオ・ライグエーリア(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:イタリア 開催日:2/17

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イタリア北西部に位置するリグーリア州。ミラノ~サンレモの後半の舞台としても知られるこの地域の山岳地帯と海岸線を利用した、実にイタリアらしい風景とアップダウンが楽しめるワンデーレース。

毎年パンチャー勢が活躍するこのレースで、今年は23歳の若手イタリア人ライダーが、プロ初勝利を手に入れた。

 

残り50km。全部で4周する周回コースの第1周回に入ったところで、ヴェラスコを含む4名の選手が集団から抜け出した。やがてヴェラスコは独走態勢に入り、残り21km地点で、6名の追走集団から21秒のリードを保った。

一時期、そのタイム差が20秒を切る瞬間もあった。しかしヴェラスコは執念の走りでこれを30秒に再び引き延ばし、最終的には8名に膨れ上がった追走集団から42秒ものタイム差をつけてゴールした。

ヴェラスコは今年24歳のイタリア人ライダー。アンドローニ・ジョカトリでプロデビューを果たし、昨年からウィリエール・トリエスティーナに移籍。現在に至る。

昨年はイタリアの秋のクラシックであるトロフェオ・マッテオッティ(1.1)で5位、グラン・ピエモンテ(1.HC)で10位などパンチャー向けレースで好成績を残した。その後、ツアー・オブ・ハイナン(2.HC)で総合7位。これがキャリア最高位の成績であったが、今回の勝利でこれをさらに更新した。

所属するネーリソットーリ(旧ウィリエール)は今年、ヴィスコンティやダイェル・キンタナなどの元ワールドツアー選手を新たに獲得するものの、それまでの要だったポッツァートやマレツコなどが抜け、全体的に弱体化が否めない状況となっていた。

その中で勝ち取ったこの勝利は非常に大きい。大金星である。

 

 

クラシカ・アルメリア(1.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:スペイン 開催日:2/17

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スペイン南部アンダルシア州東端に位置するアルメリア県で行われたスプリンター向けのワンデーレース。

前日まで隣のムルシア自治州で開催されていたブエルタ・ア・ムルシアからそのまま参戦するチームが多いが、山がちなムルシアと比べてこちらはスプリンター中心の構成で挑むチームが多い。

バレンシアナの第2ステージでフルーネウェーヘンを振るい落としたときのように、チーム一丸となって集団牽引を行うミッチェルトン・スコット。しかし、さすがに最後の山頂からゴールまで100km近くある中で、彼らトップスプリンターたちを完全に振るい落とすことはできなかった。

それでもミッチェルトン・スコットは、トレンティン・・・ではなく、よりピュアスプリントにおいて実績のあるメズゲッツで戦うことに。

ヨーロッパチャンピオンによる豪華なリードアウト。しかし残り170mほどでトレンティンがメズゲッツを発射しようとしたところ、彼の飛び出しがやや遅れた。

その隙に、トレンティンの左側からアッカーマン、その背中に乗るようにしてキッテルが猛加速。

そのまま、キッテルに前を譲ることのないまま、アッカーマンが先頭でゴールに飛び込んだ。

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チャンピオンジャージと共に、ドイツ最強のスプリンターであることを証明して見せたアッカーマン。

今年も、トップスプリンターの一員として遜色ない走りと勝ち星を挙げていくことができるか。 

 

 

ツアー・オブ・オマーン(2.HC)

アジアツアー HCクラス 開催国:オマーン 開催日:2/16~2/21

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昨年総合優勝者ルツェンコは、ヤン・ヒルトやミゲルアンヘル・ロペスといった強力なクライマーと共に参戦した昨年と比べ、今年はさすがに厳しいのではないかと予想していた。むしろマヨルカチャレンジでも1勝しているヘスス・エラダあたりが最も可能性があるだろう、と。

しかし、そのルツェンコがまさかの大爆発。パンチャーにもチャンスのある第2・第3ステージでの勝利はまだわかるが、クイーンステージの第5ステージ(グリーンマウンテン)で、今年はたった1人でその実力を発揮して、まさかの勝利。ステージ3勝と文句ない成績で、2年連続となる総合優勝を果たした。ダウンアンダーのインピーと合わせ、驚きの結果であった。

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そんなオマーンのもう1つの目玉がスプリント勝負。初日は中東マイスター・クリストフがきっちりと成果を残し、ガビリアに負けない調子の良さを見せつけた。

その後はコルブレッリ、ニッツォーロが勝利を掴んだわけだが、この辺りのタクティクスについては以下の動画を参照のこと。

ツアー・オブ・オマーン第4ステージのスプリント分析!リードアウトを信じる難しさとは? - YouTube

イン側を攻める?それともアウト側?ツアー・オブ・オマーン第6ステージ スプリント分析! - YouTube

 

また、グリーンマウンテンで「残り100m」まで逃げた執念の走りを見せた男について以下の記事にまとめてあるためご確認いただきたい。

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ブエルタ・ア・アンダルシア(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:スペイン 開催日:2/20~2/24

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↓詳細はこちら↓www.ringsride.work

 

灼熱のアンダルシアで行われた5日間のステージレース。昨年のクイーンステージの1つがいきなり第1ステージに設定され注目を集めたが、石畳の激坂を昨年と同じくウェレンスが制し、しかも山がちな個人TTでもウェレンスがトップタイムを記録する。ダウンアンダー、オマーンに続く、このアンダルシアも驚きの総合優勝連覇となるか!?と期待された。

 

が、やはり今回のアンダルシア、恐ろしいまでの豪華な面子で挑んだアスタナ、そしてミッチェルトンが、クイーンステージとなった第4ステージで力を見せた。

とくにアスタナの、トリプルエースとでも言うべき豪華すぎる布陣による波状攻撃を前にして、ウェレンスはもう、どうしようもなかった。

結果として、2017年クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ総合優勝者フルサングが制する。

今年、イサギレ兄弟加入、しかもそのヨンとゴルカが早速ステージレースで総合優勝する中で、ロペスと並ぶグランツールエースの座を守るうえで、しっかりと結果を出せた形となった。

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ヴォルタ・アン・アルガルヴェ(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ポルトガル 開催日:2/20~2/24

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ポルトガル南部、アルガルヴェ地方で開催される、ポルトガル最大のステージレース。

個人TTの重要度も高く、過去にもTTが得意なオールラウンダーの総合優勝が多い。

そんな中、今大会活躍を見せたのが昨年ラヴニール覇者のネオプロ、タデイ・ポガチャル。

第2・第5ステージの山頂フィニッシュで見せた走り、そして個人TTでも総合勢最高位の5位につける実力の高さから、総合2位アナスンから14秒、3位プールスから21秒、4位マスから25秒という差をつけての総合優勝。アナスンは最終日の逃げによる順位ということもあり、実力者プールス、マスに対してのこのタイム差は圧倒的と言ってよい。

 

そんなポガチャルの走りの巧みさについては以下の動画が非常に参考になる。

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しかしサンフアンのエヴェネプールに続きこのポガチャルと・・・本当に想像を超越した若手の台頭がこうも毎年続くとは・・・。

 

 

UAEツアー(2.WT)

ワールドツアー 開催国:アラブ首長国連邦 開催日:2/24~3/2

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例年のシャルージャ・ツアー、ドバイ・ツアー、アブダビ・ツアーといった、アラブ首長国連邦の各地域で開催されていたステージレースを統合し、7つのアラブ首長国すべてを巡る1週間のステージレースが完成した。

チームTTに2つの山頂フィニッシュ、ピュアスプリントステージが3つにパンチャー/登れるスプリンター向けの激坂フィニッシュが1つと、かなりバランスの良いステージ構成となり、名実ともにシーズン2つ目のワールドツアー・ステージレースに相応しい一流のレースに生まれ変わった。

実際、今回は白熱の1週間だった。

初日のチームTTでは世界最高峰のTTスペシャリスト3名を揃えたユンボ・ヴィスマが、これまで過去になかったチームTT勝利を達成。

さらには山頂フィニッシュで若手・ベテラン交えての激しい攻防戦。その中でダヴィ・ゴデュにローレンス・デプルスといった新たなヒーローの誕生を目の当たりにすることができた。

総合優勝者は初日からジャージを守り続けたログリッチェ。デプルスの存在と共に、今年のジロ・デ・イタリアが非常に楽しみになる走りだった。

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↓次月のレース振り返りはこちら↓

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