りんぐすらいど

サイクルロードレース情報発信・コラム・戦術分析のブログ

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2019シーズン 8月主要レース振り返り(後編)

ブエルタ・ア・エスパーニャが開催される8月後半。しかし、ロードレース界はこのブエルタの裏側でも、数多くの重要レースが開催されている。

 

ブエルタに体力を奪われて私自身もなかなかしっかりとは見られてはいないが、なかには世界選手権に向けた調整も含んだレースもあり、しっかりと確認をしていく必要がある。

とくに、ツール・ド・ラブニールは、今後活躍間違いなしの選手たちがひしめき合う重要なレース。一昨年の覇者ベルナルがツールを総合優勝し、昨年の覇者ポガチャルがブエルタで総合表彰台を手に入れた今、絶対に確認しておくべきレースだ。

 

↓昨年同時期の振り返りも要チェック↓

www.ringsride.work

  

 

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ヴォーゴーダ・ウェストスウェーデン・チームタイムトライアル(1.WT)

ウィメンズ・ワールドツアー 開催国:スウェーデン 開催期間:8/16

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2009年から続く、なかなか珍しい「ワンデーレース形式のチームタイムトライアル」。翌日には同じ舞台でのロードレースも用意されているが、それぞれ別々のレースとして位置づけられている。

 

昨年まではブールスドルマンスサイクリングチームが3連勝を果たしてきた。しかし彼女たちは今大会4位に沈む。また、昨年の「世界王者」キャニオンスラムレーシングも、あえなく敗北を喫した。

勝ったのはトレック・セガフレード。メンバーはタイラー・ワイルス、エリザ・ロンゴボルギーニ、ルス・ウィンダー、エレン・ファンダイク、トレクシー・ヴォラク、オードレー・コルドンの5名。

強烈な横風に煽られるハードなコンディションの中、見事な勝利を掴んだ。

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なお、この大会は2021年より、ノルウェーやデンマークも巻き込んだ北欧圏横断の10日間ステージレースへと置き換えられることが予定されている。

世界選手権のチームタイムトライアルも今年からなくなることで、「ワンデーレースチームタイムトライアル」はほぼほぼ消滅してしまうと言えるのかもしれない。

トレックはその貴重な栄冠を手に入れたこととなる。

 

 

ヴォーゴーダ・ウェストスウェーデン・ロードレース(1.WT)

ウィメンズ・ワールドツアー 開催国:スウェーデン 開催期間:8/18

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チームタイムトライアルの2日後、同じヴォーゴーダを舞台にしてロードレースが行われた。

スウェーデン南西に位置するヴォーゴーダの、南と東を巡る巨大なループを描いた後、登りを含んだ小さな周回を3つ、そして同じ登りに加えてさらに未舗装路区間も含めた周回を3つこなしてゴールするレイアウト。

合計で8つ、総距離28.6㎞の未舗装路区間を含み、最後の未舗装路区間終了からゴールまで3㎞しかないこのワンデーレースは、スプリンターたちも残ることはできるものの、純粋なスプリント勝負に持ち込めるような足が残ることは少ないサバイバルなレースである。

雨予報の中、当日は晴天に恵まれたことがせめてもの救いか。

 

最初の重要な動きはスタートから35㎞ほど走った先にある、3つ目のグラベル区間で巻き起こった。登り区間でもあるここで、世界王者アンナ・ファンデルブレッヘン、そのチームメートのエイミー・ピータース、元アメリカ王者コリン・リヴェラ、ルシンダ・ブランド、イタリア王者マルタ・バスティアネッリなどを含んだ14名の超強力な逃げ集団が生まれてしまったのだ。

ゴールまで100㎞を残して形成されたこの危険な逃げを許すわけにはいかず、前年覇者マリアンヌ・フォス率いるCCC・リヴを中心に全力の追走。小周回の2周目に入った残り62㎞でこれを捕まえた。

再度アタック合戦が繰り広げられるが、そのいずれもがすぐに捕まえられる。残り46㎞で與那嶺恵理を含む3名の逃げが形成されるが、それも10㎞ほど走ったのちに吸収された。

 

終盤の未舗装路区間を経て絞り込まれた小集団の中から、前年覇者フォスが勢いよく飛び出した。彼女にとっての必勝パターン。このアタックについていける選手などまずいなかった。今回のバスティアネッリ以外には。

最終コーナーを先頭で駆け抜けるフォスの後輪を、バスティアネッリは決して離すことなく捉え続けていた。そして最後にその背中から飛び出したイタリア王者は、ごくわずかな差でもって、女王フォスを打ち倒したのである。

3度目の挑戦にして初優勝。今年のロンド覇者は、また1つ大きな戦果を手に入れた。

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ツール・ド・ラヴニール(2.Ncup)

ネイションズカップ 開催国:フランス 開催期間:8/15~8/25

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U23版ツール・ド・フランスと呼ばれる若手の登竜門。ここ10年の総合優勝者にはナイロ・キンタナ、エステバン・チャベス、ミゲルアンヘル・ロペス、マルク・ソレル、ダヴィ・ゴデュ、エガン・ベルナル、タデイ・ポガチャルなど、グランツールの総合優勝争いにも関わってくるような逸材たちばかりが輩出されている。

総合優勝者だけではない。たとえば2017年のラヴニールのステージ優勝者にはカスパー・アスグリーン、ファビオ・ヤコブセン、クリストファー・ハルヴォルセン、アルバロホセ・ホッジ、パヴェル・シヴァコフなど、やはり早くもワールドツアーで活躍している選手たちばかりが並んでいる。

この大会で活躍した選手の大半が、エリート部門でも大きな成果を残せる結果となっており、若手の台頭著しい現在のロードレース界において最注目のレースであることは疑いようがない。

 

今年の大会はフランス南西部から中央山塊を潜り抜けなら東部へ。最後はアルプスの地で決戦を迎える全10ステージ(休息日1日)。

ほとんどが山がちなレイアウトであり、集団スプリントの機会はほぼなかった。そんな中、それでもまだ平坦に近い前半戦で活躍したのはイギリスチーム*1だった。

 

第1ステージはスタート直後に飛び出したデンマークのヨルゲンセンがそのまま逃げ切ったものの、52秒遅れの集団先頭を取ったのがイギリスチームのイーサン・ヘイターとトーマス・ピドコックであった。

さらにチームTTを経て迎えた第3ステージでも、このヘイターとピドコックがワンツー。第4ステージでは小集団の逃げ切りが決まったが、その中に入り込んでいたイギリスチームのアルフレッド・ライトが先頭を取った。

 

ヘイターとライトは共にトラック競技で才能を示している選手である。ヘイターは2018年の団体追抜で(エド・クランシーやチャーリー・タンフィールドと共に)世界王者に輝き、同年の欧州選手権ではオムニアム種目でヨーロッパ王者にも君臨している。

2018年はチーム・スカイの研修生でもあったが、正式加入はせず、今年もアマチュアチームで走っている。それでいて今年のU23版ジロ・デ・イタリアでもステージ2勝とポイント賞を獲得しており、近い将来、ロードのワールドツアーでも活躍する姿が待ち遠しい。

ライトもトラック競技ですでに成績を出している選手で、今年はCCCチームのトレーニーとして登録されてもいる。

 

そして、トーマス・ピドコックは今年まだ20歳のホンモノの若手。世代的にはポガチャルの1つ下、エヴェネプールの1つ上である。

ロードレース界では、2017年のベルゲン世界選手権ジュニア個人タイムトライアル種目で優勝したことですでに名前が知られている。そしてシクロクロスの世界ではすでにU23部門の世界王者、エリート部門でも国内選手権の王者となっており、マチュー、ワウトに次ぐ逸材として期待されている。

現在はチーム・ウィギンスに所属し、8月初頭のツール・アルザスでも総合優勝を果たしている。同レースの過去の総合優勝者にはケルデルマンやピノ、シャフマン、ルーカス・ハミルトンなどが名を連ねており、ピドコックもまた、平坦に限らない活躍が期待される存在として期待して良いだろう。

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この先のステージでも活躍が期待できそうなイギリス人選手たちではあったが、ヘイターは第4ステージの落車で鎖骨骨折。ピドコックも第6ステージの落車で頭を怪我してリタイア。共に現在でも戦線離脱中という不運に見舞われてしまった。

 

 

そして、アルプスに突入するラスト4ステージではいずれも山岳カテゴリ。ここで頭角を現してきたのが、ノルウェー人の22歳、トビアス・フォスであった。

元チーム・ジョーカー。そして現在は、先日のアークティックレースでも活躍したウノエックスに所属する。昨年のツール・ド・ラヴニールでも総合9位だった彼は、今年のラヴニール優勝候補の1人であった。

大柄でクラシック系のレースに強い印象をもつ彼だが、このラヴニールでは登りで圧倒的な実力を見せつけた。

とくに第9ステージ。チームメートのトリュース・スレーンによる牽引が終わったあと、残り6km近くを自ら前を牽き続けながらライバルたちを次々と脱落させていった。

イタリアのジョヴァンニ・アレオッティも、フランスのクレマン・シャンプッソンも、ドイツのゲオルグ・ジマーマンも・・・あらゆる有力クライマーたちを一人一人引き千切りながら、格の差を見せつけてトビアス・フォスが2019年若手最強の座を手に入れた。

翌第10ステージもシャンプッソンらが積極的な攻撃を試みるが、全ていなして最後は結局抜け出て集団先頭を取る。誰一人、彼に敵うものはいなかった。

 

来年はユンボ・ヴィズマ入りがすでに決まっているフォス。

ベルナル、ポガチャルのように、プロ初年度からいきなりその存在感を示せるか・・・期待し過ぎない程度に期待しておこう。 

 

 

ポストノルド・デンマークルント(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:デンマーク 開催期間:8/21~8/25

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別名「ツアー・オブ・デンマーク」。デンマークルントとはデンマーク1周の意味であり、ポストノルドとはデンマークとスウェーデン合同の郵政系?の会社である。当記事冒頭で紹介したヴォーゴーダ・ウエストスウェーデンもこのポストノルド社がスポンサードしている。

レースは概ね平坦〜パンチャー向けのレイアウトのステージが並び、その中にそれなりの長さ(今回は17㎞)の個人タイムトライアルが用意されているため、全体的にはTTが総合争いに及ぼす影響は大きい。それゆえに、起伏系のスプリントやTT能力に適性をもつシクロクロス系ライダーに有利なレースとも言え、昨年はティム・メルリエが2勝、ワウト・ファンアールトが1勝&総合優勝と、まさに席捲する形となった。

 

今年も、ロードベルギー王者にもなったメルリエに期待が集まったが、やはり地元デンマーク人は強い。総合1位から4位までデンマーク人が並び、総合2位には先日のツール・ド・ポローニュで驚きの勝利を挙げたばかりのヨナス・ヴィンゲゴーが入り込んでいた。ヴィンゲゴーはレースもアグレッシブな姿を見せており、今後の期待がより高まる選手である。

また、2017・2018と2年連続でU23個人TT世界王者となっているミケル・ビョーグ(デンマーク、21歳)も総合5位と健闘。来年はUAEチーム・エミレーツに昇格することが決まっており、彼もまた、楽しみな選手である。

そんな、デンマーク人だらけの総合ランキングの中で、非デンマーク人として最上位につけたのが総合5位のジャスパー・デブイスト。2015年以来ロット・スーダル一筋の彼は、ベノートが優勝した第1ステージでもそれに続く2位、そして第4ステージ優勝と第5ステージ3位などコンスタントに上位に入り込み、ポイント賞も獲得した。

その登りスプリントへの適性は9月のツアー・オブ・ブリテンでも発揮されており、ベノートもいなくなる来期のロット・スーダルにおいては、より重要な役割を任されうる存在として注目していきたいところ。まだ来年でも27歳と若い。

 

そして総合優勝のニクラス・ラーセン。まだ22歳とこちらも圧倒的に若い男は、来期からはウノエックスに移籍することが決まっている。アークティックレース・オブ・ノルウェーでも存在感を示していたノルウェー若手育成チームのウノエックスは、ツール・ド・ラヴニール覇者トビアス・フォスや、その総合優勝を強力にアシストしたスレーンが所属しているチームである。

その「ノルウェー若手育成チーム」のはずのウノエックスが、来期はこのニクラスを含め多くのデンマーク人の獲得を発表している。その詳しい経緯は把握していないが、いずれにせよこのチーム、そしてラーセンが、来期も注目すべき存在でたることは間違いないだろう。

 

 

レディース・ツアー・オブ・ノルウェー(2.WWT)

ウィメンズ・ワールドツアー 開催国:ノルウェー 開催期間:8/22~8/25

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フォス、フォス、フォス。これでも、全3ステージだったとはいえ全ステージフォスが勝った昨年よりはマシ?  とにかくフォス姐さんがひたすら強い4日間であった。

第1ステージは通常の集団スプリントが行われ、ピュアスプリンターのロレーナ・ウィーベスが勝利した。フォスもスプリントに挑むが5位に終わる。そりゃ、バルベルデがアッカーマンに挑むようなもので、勝てなくはないが、勝つのは難しい。

ゆえに、第2ステージ以降はフォスが得意の終盤抜け出しを繰り返した。第2ステージは残り6㎞で、第3ステージは残り8㎞で、第4ステージも緩やかな登りスプリントで、残り300mから長めのスプリントを開始してそのまま逃げ切った。

総合2位はコリン・リヴェラ、総合3位はリア・キルヒマンとチーム・サンウェブの面々がツー・スリーを独占した。いずれもやはり緩やかな登りに強いパンチャー系スプリンターたち。それでも、最終的にフォスにそれぞれ29秒、41秒をつけられているため、いかにフォスが圧倒的であったかがよくわかる。

「女王」はまだまだ、君臨し続けるのか。 

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サイクラシックス・ハンブルク(1.WT)

ワールドツアークラス 開催国:ドイツ 開催期間:8/25

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ドイツ北部に位置する特別市ハンブルクを舞台としたワンデーレース。そのレイアウトは実にドイツらしくオールフラットに近いものだが、終盤に複数回登ることになる急坂ヴァーゼベルク(登坂距離0.7㎞、平均勾配9.7%)がピュアスプリンターたちを苦しめることも多い。今年も、ボーラ・ハンスグローエの最強ドイツ人スプリンター、パスカル・アッカーマンがこの餌食に遭っており、ボーラはもう1人のエース、サガンに勝利を託すこととなった。

だが、ドゥクーニンク・クイックステップのアシスト陣に護られたヨーロッパ王者エリア・ヴィヴィアーニは健在で、そこに最強リードアウターのミケル・モルコフが加われば、手のつけようがなかった。昨年に続く、2連勝。

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ツール・ド・フランスではイマイチ結果を出し切れなかったヴィヴィアーニだが、先だってのヨーロッパ選手権と合わせ、再び調子を取り戻してきた。グランツールでの勝利は積み重ねられてないものの、まだまだ「最強」の名を返上するつもりはないようだ。

 

 

ドイツ・ツアー(2.HC)

ヨーロッパツアー HCクラス 開催国:ドイツ 開催期間:8/29~9/1

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1931年に初開催された息の長いステージレースでありながら、度重なるドイツ国内のドーピングスキャンダルによって2009年以来開催が中断。昨年、10年ぶりに復活を遂げ、今年はHCクラスに昇格したことで、さらに注目度がアップした。

ドイツといえば平坦だが、このドイツ・ツアーは細かなアップダウンが連続し、これを越えられるパンチャーやタフなルーラーたちが総合成績で上位に立つ。昨年はまさにその典型たるマテイ・モホリッチが総合優勝。地元ドイツ最強スプリンターのアッカーマンも初日では勝てたものの翌日からの荒れた展開ではまったく最後まで残れず、カレブ・ユアンも2日目に早々にリタイアを決めた。第2〜4ステージの勝者はいずれもパンチャータイプだ。

そんな中、総合優勝を果たしたのは、パンチャーというよりはクラシックスプリンターなストゥイヴェン。そして彼の最大の武器は「逃げ」であり、今回も第3ステージの残り10㎞で抜け出してタイム差をつけ、人生初の総合優勝をもぎ取った。

2016年のクールネ〜ブリュッセル〜クールネも、昨年と一昨年のビンクバンク・ツアーも、終盤のアタックからの逃げ切りで勝利しているストゥイヴェン。スナイパーのような男である。

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パンチャー向けということで、1ヶ月後に控えるヨークシャー世界選手権への少し早い調整レースとも位置付けられる。クラシカ・サンセバスティアン以来休養に入っていた世界王者候補ジュリアン・アラフィリップやレムコ・エヴェネプールも参戦した。

しかし、アラフィリップも得意のスプリントを、エヴェネプールも得意の独走を行うものの、いずれも今回はうまくいかず。まだまだ本番の1ヶ月先に向けて、調整を開始したばかりという意味ではむしろ上がりすぎていないこの状態は悪くないと言えるかもしれない。

勝てないなら勝てないなりに、そのあとはチームのアシストとしてしっかり働く姿も素晴らしい。これこそがウルフパック、といったところである。

 

 

グランプリ・ド・プルエー(1.WWT)

ウィメンズ・ワールドツアー 開催国:フランス 開催期間:8/31

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フランス北西部、ブルターニュ地方の小さな街プルエー周辺で開催される一大自転車イベントの土曜日に開催される女子レース。日曜には男子レース「ブルターニュクラシック・ウエストフランス」が開催される(9月主要レースで取扱)。

女子レースの方はプルエー周辺の1周16.7㎞の周回コースを6周、その後にコースを変えて短くした13.9㎞の周回コースを2周、合計で128㎞のコースを走らせる。

男子レース同様に終盤に繰り返し登ることになる登坂距離1.1㎞、平均勾配6.5%の登り「ティマレク」が勝負の鍵を握り、最後のこの登りの頂上からゴールまでは3.6㎞しかない。

 

今年のGPプルエーは、最終周回の最初に登る「ル・レゾ(登坂距離1㎞、平均勾配4.6%)」で抜け出した世界王者ファンデルブレッヘンの独走により決まった。ゴールまで12㎞。

アレナ・アミアリウシク(ベラルーシ、キャニオンスラム)、ソラヤ・パラディン(イタリア、アレ・チッポリーニ)、アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)の3名が追走を仕掛けるも、ファンデルブレッヘンとのタイム差は縮まらず。残り9㎞の時点で、ファンデルブレッヘンと3名ののタイム差は13秒、プロトンとのタイム差は30秒にまで開いていた。

プロトンはトレック・セガフレードとチーム・サンウェブの牽引で3名を捕まえる。しかしファンデルブレッヘンは、最後のティマレクの登りでなおも22秒のリードを保っていた。その差は最後まで埋まらず、世界王者は大会初制覇を果たした。

 

「スプリントではこのプロトンで先頭を取ることは難しかったけれど、独走ならば可能性があると思っていた。それに集団の中には(昨年覇者の)エイミーが残っていたし、私がもしも捕まえられても彼女が勝ってくれると思っていた」

 

まさに最強軍団の層の厚さがなせる技である。

 

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*1:ネイションズカップと呼ばれる国別対抗シリーズ戦の1つであるツール・ド・ラヴニールは、世界選手権のように、所属チームではなく国の代表として戦う。

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